しばらく、丹羽さんの本の抜書を行う。

国家経営と企業経営という章は、まずある証言の引用から始まる。

「満州でやめておけばよかったのだ」(シベリア抑留者)

丹羽さんはこの言葉にある点では共感し、ある点では否定する。

理屈上はたしかにそのとおりだし、現に止めようと主張した人もいた。

「しかし本当のところは、もうその時にはやめられなかったのだ」と、丹羽さんは考える。

企業経営で言えば、不採算事業に多額の投資をし、その事業を延命させるために企業本体の経営を危うくしていったといえる。

これが丹羽さんの総括的評価だ。それは自分の経営上の経験に照らして、「実感」として述べられている。

経営的に見れば、犯してはならない誤ちも、政治の世界では「勢い」でやってしまうことがある。

だから施政者(行政)には「勢い」に流されない慎重さがもとめられるし、意思決定の仕組み(立法)には立憲的なフィードバックが求められるのだ。