これは1月2日のテレスール(TeleSur 通信)に掲載された文章の要約です。原題は“ベネズエラ大統領マドゥーロの12の勝利ー2017年版(The 12 Victories of Venezuelan President Maduro in 2017)”となっていますが、多少表現を変えました。訳者は記載内容に全面的に同意するものではありません。

14.第4世代の戦争

今もベネズエラは厳しい攻撃のもとにあります。ここではそれを「第4世代の戦争」と呼びます。
(訳者の理解としては、第一世代は1月から3月末の司法と議会との全面対決まで、第2世代は制憲議会設立の提案から7月末の投票までの街頭戦争の世代、第三世代は二つの地方選挙を挟んで12月上旬までの期間、そしてこれからが、反チャベス派の国際戦線が組織的・系統的・全面的な攻撃を始めるという世代の始まりということになるのでしょう)

ここで指摘しておきたいのは、ベネズエラに対する第4世代の戦争宣言にはいくつかの前線が想定されているということです。攻撃は主として次の4つの面から同時かつ連続的に行われるでしょう。

4つの前線とは

1)軍事的戦線

専門家によって設計された軍事的反乱です。破壊、サボタージュ、大衆扇動からなります。

多くの場合は傭兵が使用され、犯罪的な暴動(グァリンバ)の周期的な爆発とテロ攻撃が組み合わされます。

兵舎、軍事目標、および電力網、製油所、配水などのインフラ目標が設定されます。

2)メディア戦争

新聞、ラジオ、テレビ、ソーシャルネットワークは、宣伝の計画的使用を通じて新しい攻撃力に改造されました。それは人々の心をときに傷つけ、ときに誘惑しています。

3)外交戦争

いくつかの国際フォーラム、特にOASでの嫌がらせが目立ちます。

中南米の親米・反共国家群、いわゆる「リマ・グループ」の国々による攻撃を中核とし、米国、カナダ、欧州連合もつねにこの攻撃に加わっています。

4)経済・金融戦争

食糧と薬品の隠匿と演出された「品不足」

通貨の為替レートの操作により誘発されたインフレ、

国内取引銀行の口座封鎖

格付機関による国債リスクの歪み。
これら、軍事・メディア・外交・経済面での攻撃が複合され、もし弱点を見つければ集中的に攻撃を仕掛けることになるでしょう。1918年、大変厳しい闘いが待っていると言わなければなりません。


15.金融戦争の実相はベネズエラへの金融封鎖

これら第4世代戦争のうち、7月30日以降の攻撃の中心となっている経済・金融戦争について少し詳しく見ていきます。

ベネズエラのカントリーリスクに関して語る場合は、次のことを忘れてはなりません、

既に述べたように、 過去4年間に、カラカスは、すべての債務支払い請求を例外なく尊重しました。その総額は7400億ドル以上にのぼります。すべての債務を律儀に支払うため、ベネズエラへの融資にはリスクはないのです。
この行動はベネズエラのカントリーリスクを大幅に削減しています。

しかし、それにもかかわらずカントリーリスクは増加し続けています。JPモルガン銀行によれば、この国のリスクは4,820ポイント、すなわちチリの38倍の高さであります。チリの負債/ GDP比はベネズエラとほぼ同じ高さです。なぜこのように信用リスクが高いのでしょうか。

その理由は政治的なものにしかもとめることはできません。すなわちベネズエラはアメリカに逆らって中南米の自立を唱導しているからです。また社会主義的制度を積極的に採用し、貧富の差を攻撃し、金持ち優位の政治を否定しているからです。そのためにアメリカに嫌われているからです。
ベネズエラは社会主義的な政治制度を、民主的な方法で選んだために高いコストを払わされていることになります。

2017年に於ける国際銀行の金融封鎖に関して述べましょう。

ドナルド・トランプ制裁の発動後、 アメリカ籍企業による契約の一方的な解除は倍増しました。例えば、支払代理業のデラウェア社は、その特約銀行である米国のPNC銀行がPDVSAから資金を受け取ることを拒否したと報告しています。これは7月のことです。
ポルトガルのノボ・バンコ社は、ドルでの業務を実行できないことをベネズエラに通知してきました。米国の仲介銀行が対ベネズエラ金融封鎖に加わったことに起因しています。これが8月のことです。
ベネズエラと契約した中国銀行のフランクフルト支店は、カナダの鉱山会社であるゴールドリザーブに1500万米ドルを支払うことができませんでした。それはベネズエラ側が支払うべきものでした。

11月には、クリスマス休暇に向けられた食糧の23件の購買契約の支払い分がカラカスに戻ってきました。供給元の仲介銀行がベネズエラからの資金を受け入れなかったため購入契約が破棄されたのです。その総額は3900万ドル以上に登ります。
これらはWTOで締結されている国際自由貿易の原則をあからさまに侵害するものです。しかし問題はさらに深刻です。ことは人道問題に絡んできています。
9月上旬、ベネズエラ政府はアメリカの医薬品会社などに総額12億ドル相当の医薬品と食品を発注しました。米国企業の取引銀行はJPモルガン銀行の子会社であるユーロクリアでしたが、この銀行が12億ドルの受け取りを拒否しました。これにより、ベネズエラは患者の治療に必要不可欠な30万回分のインスリンを確保できなくなったのです。

もう一つ、ベネズエラはコロンビアのBSNメディカル(スエーデン)系列の製薬会社にマラリア治療薬であるプリマキンを発注しました。しかしこれも同じような理由で受注を拒否されました。

なぜこのような事態があいついで起きたのでしょうか。その目的は、ベネズエラが国民が必要とする食糧や医薬品を輸入するために外貨を使用するのを妨げることにあります。そうすれば人々が抗議し、医療システムに混乱を生み出すことでしょう。
11月に政府はインドからの重要なインスリン輸入の緊急到着を実現しました。死に至るリスクのある何百人もの患者が救われました。 疑いなく、これはベネズエラ人民の新たな勝利です。
(訳者が考えるには、これはあまりにも非人道的なやり方です。何千人もの患者さんの生命を危険にさらしています。もしそれにより糖尿病やマラリアの患者さんが命を落としたときは、誰が責任を負うのでしょう。たんなる有責ではなく、アメリカ国内法でも完全な有罪、それも人道に対する罪で有罪であると思われます。訴訟をおこすべきではないでしょうか)


16.奇策: デジタル通貨の発行

11月、金融封鎖を破るために、ベネズエラ政府はある計画を発表しました。それがデジタル通貨「ペトロ」の創設です。

この発表は仮想通貨投資家のコミュニティに多くの熱意を呼び起こしました。ベネズエラは技術とグローバル・ファイナンスの最前線に位置づけられ、大きな期待を集めまています。

さらに「ペトロ」の利点は、市場の気まぐれと投機の対象にならず金、ガス、ダイヤモンド、石油などの実質資産の国際価値に関連していることです。
外国の権力はドルの力を背景に資本の受け取りを拒否したりボイコットしたりと勝手なことをしていますが、ベネズエラはそのようなことをさせない革命的な資金調達メカニズムを持つことになります。その意味では「ペトロ」の発行はベネズエラにとって明らかな勝利です。

(流石にこれは訳者にも眉唾ですが)


17.社会福祉インフラへの投資を前進させる

ベネズエラ政府は、2017年にあっても社会福祉インフラへの投資を前進させたことに誇りを持っています。闘いの真っただ中であるにもかかかわらず、石油依存型経済モデルの全体的な不調・故障にもかかわらず、この間ベネズエラ政府は社会主義への関心を失いませんでした。

国民の誰もが学校、仕事、シェルター、医療ケア、所得、食糧へのアクセスを失っていません。そのことが証明されています。革命政府は基本的な公共事業への資金調達を止めず、住宅建設をやめませんでした。2017年には57万戸以上が納入されました。

住宅建設計画を始めすべての社会的ミッションが維持されました。農作物の栽培計画が維持されました。Sovereign Supplyミッションが拡張されました。Sovereign Field fairsが倍増した。
(これらの「計画」や「ミッション」の内容は訳者には不明です)

いくたの嵐のなかで、チャベス主義政府はベネズエラとベネズエラ国民を救うという社会的奇跡を達成しました。野党連合による反乱は福祉と社会主義の進歩を止めることはできませんでした。

社会主義の進歩を語る上で、「供給・生産のための地方委員会」(CLAP)の働きは特筆されなければなりません。それは生産点と都市とを結ぶ直接物流を中央統一化させ、全国的な進化をもたらし続けています。このシステムにより、400万人のベネズエラ人が経済戦争に由来するもの不足から守られました。

2017年、ベネズエラ政府は新しい社会イニシアチブを開始しました。なかでも最も壮大なのは、市民の社会経済的地位を特定するためにQRコードを使用する新しい身分証明書(カルネ・デ・ラ・パトリア)を発足させたことです。これを通じ、必要な家族のために社会福祉計画へのアクセスを提供することができます。

2017年12月末には、総数1650万人の市民がカルネ・デ・ラ・パトリアに登録しました。

大統領はまた、社会扶助の配分のプロセスをスピードアップするために、「ソモス・ベネズエラ」運動の創設を促進しました。「ソモス・ベネズエラ」の20万人のボランティアは、登録された家族のニーズを家ごとに識別します。彼らは実際のニーズに応じて家族に援助を割り当てます。

「ソモス・ベネズエラ」運動のもう一つの重要な目的は、全国の年金受給者の100%を保証することです。
(言葉通りに受け取ればマイナンバー制度ということになるが、土台が違いすぎてその是非は評価できません)

マドゥーロ大統領はまた、「青年非正規労働」計画を提案しました。これは15歳から35歳の若者を対象とした失業対策事業で、雇用分野に彼らを組み込むことを目的としています。

この計画は、特に、無職の大学生、学校に行っていない若者、家族の責任を負っているシングルマザー、そして路上生活の若者を対象としています。この新しい計画は約80万の雇用を生むと推定されています。

18.マドゥーロ政権の最近の成果

政府の最近の成果の一つとして、10月に行われたマドゥーロ大統領の外遊について言及します。

マドゥーロはこの外遊を通じて、金融封鎖の嫌がらせを振り払い、経済戦争に勝利することを目指しました。ベラルーシ、アルジェリア、ロシア、トルコを歴訪し、それぞれで重要な二国間協定の署名に成功しました。
また石油生産国(OPECおよび非OPEC)との不断の交渉により、2017年の原油バレルあたり価格の驚異的な復調(23%上昇)を可能にしました!

11月に始まった石油関係の腐敗に対する大規模な取締まりも、2017年の大きな成果でした。

ベネズエラ石油公社(Pdvsa)と石油販売公社(Citgo)の経営幹部のうち最高幹部を含む数十人の逮捕が発表されました。このような摘発は、百年間のあいだ、ベネズエラ石油産業に起きたことはありませんでした。これは間違いなく、2017年のベネズエラ政権の勝利であります。

19.結論

結論として、ベネズエラに破壊的な作用をもたらした最大の要因は国内外でのメディア攻撃にありました。
大手メディア企業が指揮する世界宣伝キャンペーンの主な目的は、チャベス派政権のイメージの破壊であります。このことは再度指摘する必要があります。

インターネット上の複数のプラットフォーム、たとえば Facebook、Twitter、YouTube、Instagram などのソーシャルネットワークを通じて闘われた、長期にわたる“デジタル戦争”も忘れてはなりません。

これらの大量世論操作の武器はすべて、ベネズエラ革命の姿を貶めようとして使われています。それらはベネズエラの現実を操作し、反政府派の運動に広範な支援を与え、野党の暴力をおおい隠しています。

反政府派の行動目的は、たんなる反マドゥーロというより、もっと構造的なものです。ベネズエラは地球規模でのシステムを変革しようという流れの主要な担い手であります。そのベネズエラを敗北させることは、単にその豊かな財産をふたたび我がものととするためだけではありません。ベネズエラが実現しつつある革命的な社会モデルを消滅させるためにこそ必要なのです。

反帝国主義勢力の先頭に立つベネズエラを敗北させることは、ラテンアメリカの地政学的見地から見ても重要です。

しかし今のところ、ニコラス・マドゥーロを破滅させるすべての計画は失敗しています。

彼自身が言ったように、「帝国主義はわたしたちの首に手をかけたが、私たちを窒息させることはできなかった。チャベス革命はそのどんな分野においても粉砕されなかった」のです。

反対に、ベネズエラ共和国は2017年を通じて強化されました。そして国の平和のための戦略的イニシアチブを再開することができました。大きな国益を守り、誠実さと謙虚さの原則を遵守することに成功しました。

マドゥーロ大統領は、野党に対し交渉の場に座り、尊敬と相互認知に基づいて対話を再開するよう提案しました。マドゥーロの要請を受けてサント・ドミンゴが仲裁国として中立的シナリオを提案しました。
それは、国論が分裂するのはベネズエラが革命のただ中にあるためであり、革命をどうすすめるかを巡っての政治的な立場の違いから生まれるのだと判断しています。
そしてだいじなことは国家の最善の利益を守り、紛争を規制するための民主的な方法を生み出すことだとしています。そしてまず最初の出発点として恒久的な国民対話を復活するようもとめています。

残忍な攻撃と果てしない暴力に耐えたこの英雄的な1年間に、チャベス主義は強さと生存力を発揮しました。それは支持基盤を拡大し、革命に有利な政治的状況とおよび社会的な力を増やすことができました。そしてこれまで以上に強固な確信を抱くに至っています。

2017年におけるベネズエラ革命の勝利と前進はラテンアメリカ全土の救済と希望を意味します。今やベネズエラ革命は決して倒すことのできないものとなっています。