2017年、ベネズエラ人民はどう闘ったのか ②

これは1月2日のテレスール(TeleSur 通信)に掲載された文章の要約です。原題は“ベネズエラ大統領マドゥーロの12の勝利ー2017年版(The 12 Victories of Venezuelan President Maduro in 2017)”となっていますが、多少表現を変えました。訳者は記載内容に全面的に同意するものではありません。


9.制憲議会の提起

世の中はあまりにも多くの恐怖に満ちており、それに抵抗することは容易ではありませんでした。人々は沈黙を守るほか手段がなくなろうとしていました。
しかし政府は公序良俗を回復させる方法を見出したのです。政府は民主的権威、三権の平等、人権の尊重という三つのビジョンを掲げました。それは暴力の迷路から脱出するための立憲的かつ合法的な方法でした。
そもそも野党勢力の言い分は、立法機関と司法機関という二つの正統な機関のあいだの不一致にもとづいたものです。両方の機関の筋を通しながら難局を脱する方法は、行政機関の長たる大統領が仲裁人となり、紛争解決のために行政的な手段を講じるほかありません。

これが三権分立の基本です。

そこで大統領は、憲法第347条、第348条および第349条に基づき、政府および最大仲裁人としての地位を利用して、5月1日に制憲議会の設置を中核とする和解プロセスを提示しました。ちなみにこの憲法は、1999年のチャベス大統領の時代に成立したものです。
このマドゥーロ解決案は、解決方向が三権分立のあり方まで立ち戻らざるを得ないという点で、妥当といえます。もちろんマドゥーロ大統領がいったん辞任するという選択肢もあるとは思いますが、マドゥーロの側から見れば辞める理由がありません。

10.制憲議会選挙の勝利

世界の報道陣から上がる大歓声の中で、野党は制憲議会選挙をボイコットすると宣言しました。そしてその代わりに選挙を実力で妨害することに専念しました。選挙の成立を阻止するため、バリケードを築き、選挙権を行使したいと思っている人たちを脅しました。

しかし彼らは失敗しました。彼らは、暴力と恐怖に負けず民主主義に向かおうとする人々の流れを止めることはできませんでした。
7月30日、制憲議会選挙が実施されました。選挙は過半数の投票率を得て成立し、全員が政府支持派である制憲議会が立ち上げられることになりました。
850万人以上の有権者が投票所に足を運び、市民的、政治的、倫理的、道徳的な義務を果たしました。武装組織や暴力集団に正面から向き合い、彼らにより閉鎖された街路を横切って、あらゆる種類の妨害・障害を乗り越えて人々は投票所におもむき、1票を託したのです。
これにともない、国会は新憲法成立までのあいだ、その存在意義を失うことになりました。野党勢力は絶望的な政治的失敗を確認せざるを得なくなりました。

8月1日、投票日の翌日、「グァリンバス」は散り散りとなり街路から姿を消しました。暴力は消えていました。平和が再び支配するようになりました。

このようにして人民とその政府は「グァリンバス」を倒し、明らかなクーデターの試みを中止したのです。人民は国内外の脅威に対して毅然と立ち向かいました。政府は政策の根拠を揺らぐことなく貫きました。

これは2017年の最も壮大な勝利でした。

11.二つの選挙での勝利

制憲議会とともに「平和の季節」がやってきました。それはベネズエラ革命が反革命主義者に政治的反撃を加えるチャンスを与えました。

その反撃は一斉地方選挙で2つの驚異的な選挙勝利をもたらしたのです。
(ベネズエラの一斉地方選挙は日本と同じで4年に1度行われます。前半と後半の2回に分けて行われ、はじめが州知事と州議会の選挙、次が市町村の長と議員の選挙です。制憲議会選挙と違いこちらの選挙は野党も参加しています)

まず最初が10月15日の地方選挙です。州知事選挙では23人の知事のうち19人が与党PSUVの勝利に終わりました。
そこにはこれまで野党が知事を務めていたミランダ州とララ州も含まれていました。また大きな人口学的重要性を持つ戦略的州であり、石油とガスの重要な資源があるスリア州(マラカイボ湖)でも勝利しました。
ベネズエラ 州
          ウィキペディアより
ついで12月10日の自治体選挙でもチャベス派が圧勝しました。首長選では335の市区町村のうち308で勝利しました。これは市町村の93%を占めています。

大カラカス首都圏は24都市よりなっていますが、チャベス派はこの内22都市を確保しました。いっぽう反政府派は得票数が激減し、21万票を失いました。彼らの行動は多くの国民から非人道的と認知されました。そのことが投票行動によっても確認されたといえます。

ベネズエラは、2017年に3回の全国規模の選挙を組織した中南米で唯一の国です。そしてその国で3勝したのがチャベス派です。


12.対外債務問題

反政府派は今や国内での影響力を大幅に減らし、活動力を失っています。しかし依然として国際的な保護者の支持を保持しています。その中で最も攻撃的なのが、新しい米国大統領ドナルド・トランプです。

トランプ政権はいろいろな問題をでっち上げて、ベネズエラに制裁を課してきました。とりわけ目立つのが、ベネズエラ政府と石油公社(PDVSA)が金融市場にアクセスするのを妨害することです。そうやってベネズエラの決済を妨害し、デフォルト(対外債務不履行)に押しやろうとしています。

米国はベネズエラに信用を提供することを妨げ、それによってベネズエラが外貨を得ることを妨げようとします。じつに下劣な嫌がらせです。

ジョージ・W・ブッシュ大統領下で国務長官をつとめたローレンス・イーグルバーガー氏は、フォックス・ニュースとのインタビューでこう答えています。(この段落は背景が不明です。イーグルバーガーは30年も前の国務長官であり、チャベスよりはるかに前の人ですが、国務省OBとしてベネズエラ転覆策動に関与しているのかもしれません)

ブッシュ政権のもとでも、ベネズエラに対する経済戦争がワシントンで効果的に計画されていた。我々はベネズエラ攻撃のために経済的ツールを使わなければならないと考えていた。

ベネズエラの経済を悪化させ、チャベス主義の影響を国や地域で減退させるようにしている。ベネズエラ経済を困難な状況に沈ませるための方策はうまくいっている。

新たな制裁が「ベネズエラをめちゃくちゃにする」ことになるだろう。

もちろん、ベネズエラ政府はそのような攻撃に対してしっかりと対応しています。

まず強調したいのは、ベネズエラは南米の他のどの国よりも多くの借金を支払っているということです。過去4年間だけで、ベネズエラは約740億米ドルを債務返済のために支払いました。たしかに対外債務の累積はありますが、その再編についても再交渉を目指して「常に明確な戦略を持つ」ています。

国外の反チャベス主義者はベネズエラ革命を財政的に孤立させようとねらっています。彼らは個人投資家に恐れを生じさせたいので、ベネズエラ国債を購入せず、ベネズエラ債務の再交渉にも参加しようとしません。このため新規投資はもはやストップされています。

積極的な貿易、銀行口座、金融への迫害が強められています。ベネズエラが直面するのは本物の「迫害」です。

13.債務スワップ交渉の成功

ベネズエラ政府は11月3日に借り換えを統合する委員会の創設を発表しました。メリカからの金融攻撃を跳ね返すために、対外債務の再編が計画されています。政府は「バランスを取るために外部からの支払いを完全に再フォーマットするつもりだ」とのべました。

数日後、大統領が提案した再交渉と再編への最初のアプローチの一環として、カラカスで債権者との話し合いが招集されました。そこにはアメリカの金融封鎖の目論見に反して、パナマ、英国、ポルトガル、コロンビア、チリ、アルゼンチン、日本、ドイツの債務者グループが集まりました。


(③に続く)