欧州議会選挙では極右が伸びたことが大きく取り上げられているが、もう少し注意深い分析が必要だ。

極右は全体としてはバラバラで、一定の潮流ではない。基本はあくまで移民反対と自国エゴ優先だ。一つのムードにすぎないから、その先に何があるというものではない。

欧州議会の主流はあくまでも伝統的な保守勢力だ。これらの勢力が激減したことが、今回の選挙の最大の特徴だ。

保守派は欧州人民党と欧州自由民主同盟、欧州保守改革グループなどから形成されている。これらの勢力を合わせ407議席持っていたのが今回は77議席を失って330議席となった。議席定数は751(前回より15議席減)だから、これまで保守が過半数を握っていたのが、その座を失ったことになる。

その代わりに増えたのが無所属・新加盟で72議席を増やした。ここに極右がふくまれている。

社会民主主義勢力は191議席と微減したが、議席定数の減を考えればほぼ現状維持で、最大会派の欧州人民党と肩を並べることになった。

統一左翼は7議席増やして42となったが、まだまだ影響力は低い。ただギリシャ、イタリア、スペインでは躍進しており、PIIGS諸国の不満をすくい取ったといえる。


個人的な感想だが、欧州議会にそれ程の力があるとは思っていないし、それぞれの会派がそれほどの集中力を保持しているかも疑問である。

いわば各種のイデオロギーに対する人気投票と見ておいたほうが良いのかもしれない。ただ保守に対する不満がズルッと極右に流れてしまう風潮には、我が国の動向とも合わせ危険なものを感じる。

極右の最大の特徴は不寛容、とくに弱者に対する不寛容にある。弱者に対する「擬似的強者」となることによって、つかの間のカタルシスをえようというのが極右の心情的本質だ。この不寛容を招いた最大の犯人は新自由主義だ。
EUは、依然「希望の虹」というフィクションにとどまっている。そしていま、それを根底から破壊しようとしているのが新自由主義=大企業・富裕層エゴイズムだ。
だから、当面する極右との闘いの先に、我々は新自由主義を見据えておかなければならないのである。