「ベネズエラ: 隠された動機」というビデオがある。
大使館ご推薦のものだ。
全部で37分、政府側の言い分を一通り網羅している。
ただし全部を見ろというのは一般の方にはしんどいだろう。
とりあえず、紙上ダイジェストみたいな形で紹介しておく。画像はビデオの静止画像を読み込んだものなのできわめて低クオリティーであることをお断りしておく。

最初がベネズエラの石油専門家のインタビュー。ここでは1980年までベネズエラが世界一の産油国だったことが語られる。彼はベネズエラが今なお世界の埋蔵量の17%をしめると言うが、それはどうでも良い。
ついで歴史学者が歴史から語り始めるが、ここは省略。
いろいろ語られたあと、チャベスによるクーデター未遂事件が語られる。
ついでロック歌手が登場し、なぜチャベスが嫌われるのかを語る。ここからが見どころだ。

チャベスは貧者(国民の8割)の英雄
チャベスは影の人々に光を当てました。8割の人が貧しく、4割は極貧でした。
チャベスは彼らに発言権や投票権を与えました。
それが彼らには我慢ならなかったのです。
チャベス漫画
これがベネズエラ政治を考える上での一番の基本だ。そこを分かっていない人は討論の場からは外れてほしい。(これは私の独り言)

反政府デモと暴力
ついで、反政府派のデモの実態を告発する。
野党は直接暴力に訴え、軍隊にクーデターを呼びかけています。それが祖国への愛だと若者を洗脳しています。
反対派のデモは憎しみや叫び、侮辱・破壊行為、焼き討ちばかりです。以前はこんな狂気の沙汰はありませんでした。
クリニック襲撃

反政府派は犯罪者の武装集団にお金を払って混乱状態を作り出しています。
若者や仲間までもが自家製の武器で殺されています。
バス焼き討ち
地下鉄や学校が攻撃され、大学が破壊されました。

メディアとでっち上げ
画面は代わって、国内外のメディアに対する批判に移る。メディア関係者の女性の発言。
すべての情報源の中に偽のベネズエラ像があります。多くの「ベネズエラ専門家」が誕生しました。
メディア批判
新聞記者たちはこう指示されます。「ベネズエラに行って、飢餓や食料品をもとめる人々の列、医薬品の不足を記事しなさい。
メディア批判2
外国人特派員は命じられた記事を書くために来るのです。高速道路やカラカスの幹線道路で、反対派が行っているデモ行進の映像もそうです。メディア批判4

国際メディアの報道しないこと
でも国際メディアの報道しない多くのことが起きています。報道されない理由は特派員たちの能力不足ではありません。彼らは別の指示を受けてベネズエラに来ているからです。
でもこの国で唯一のことを見逃しています。それは底辺に生きる人々のエンパワーメントです。
だからこそ、マドゥーロ政権やチャベス前政権は転覆されなかったのです。
今の政治になってからの変化で、もっとも重要な点は、人々が政治について理解するようになったことです。
ベネズエラ周辺の他の国で、人々が政治について議論することはありません。
国際メディアがそのことについて報じないのは、明確な意図があるからです。
この国への攻撃あるいは介入の次の段階のための世論を構築するためです。
それはもう始まっています。

モノ不足と人道問題
ついで別の人物とのインタビューで人道問題について語られる。
反対派が人道危機のテーマに固執する理由は、人道国際法には人道的介入という概念があるからです。
つまり深刻な飢餓やテロ災害に苦しんでいる国には、「人道介入」という名の介入が許されるからです。
モノ不足
ボリーバル大学の経済学者は語る
ただしいくつかの基礎食糧についてはその生産の8割が2~3社の手に委ねられています。とうもろこしの粉、米,コーヒー、砂糖などです。
1980年代や90年代に比べてベネズエラの生産レベルは向上しました。
食料品をもとめる列や価格高騰の原因は生産量が減ったからではありません。
もし生産量が問題ならなぜ闇市場では手に入るのでしょう。誰かがそれを生産したか、輸入したかでしょう。
国は外貨の95%を石油の輸出から得ています。
そして民間部門の輸入用に外貨を優遇レートで提供しています。
しかし民間部門は輸入価格を国内通貨に変える際に、優遇レートではなく、一番高い闇市場のレートを使用します。
闇市場の相場は不正に操作され、選挙など重要な政治日程に連動して動きます。
医薬品の話をしよう
国は2014年に医薬品業界に対して医薬品の輸入費用として25億ドルを提供しました。その前の年から医薬品が不足していたからです。
その10年前、2004年の提供額は9億ドルでした。医療予算は3倍近くに膨張しましたが、10年間で病人がそれだけ増えたわけではありません。これは外貨の割当の問題でも外貨不足の問題でもありません。
2012年以降、石油価格の下落により外貨は減っていますが、民間への外貨割当はずっと高いレベルに維持されています。つまりモノ不足の原因は別なのです。
モノ不足2
こうした経済攻撃は国民に向けられたものです。経済にではありません。政治的意図が込められています。
薬が入手できないと人々を不安にさせ、社会を不安定化するのです。

モノ不足3
まず「事実」を作り上げる
この経済戦争は心理的な戦争と情報による戦争を伴っています。まず「事実」をつくりあげ、次にその責任を転嫁します。
社会主義モデルが失敗したからだと心理的に訴える情報を流すのです。その際、市場を操作したことは隠したままです。
おなじことがアジェンデ政権下のチリでも、1970~73年に起きました。生活必需品をもとめる長蛇の列。
しかし生産も輸入も滞ってはいませんでした。アジェンデ政権が倒されるとモノ不足は解消されたのです。
ニクソン大統領自身がこう語っていました。「政権を弱体化するために経済を破壊する」と。
資本主義とは異なる体制の政府が強化され、成果を上げることを拒むためでした。

次のインタビューはスペイン人で欧州議会議員の人。
反チャベス勢力は「失敗した国家」というイメージだけでなく、暴力的な反対勢力を支援しました。経済戦争も仕掛けました。
わたしたちの主張は「陰謀妄想論」ではありません。彼らはアジェンデ政権に行ったのと同じ経済戦争を仕掛けています。
ベネズエラはキチンと代価を払ってきています。しかし製薬業界や大企業は国民に医薬品を供給していません。
高血圧症など国民が必要な薬がなくなっています。
それは「失敗した国家」だと烙印を推して介入するための準備です。地域統合という、ベネズエラの政治計画を拒むためです。

このあと反米宣伝が続くが、ここは省略する。

ゴールはチャベス政治の破壊
そして、謎の人物が出てきて政権打倒の計画を明かす。
政権を内部から倒せなければ、「人道的な危機」を作るのです。
これ以上の流血や隣国への拡大を防ぐため、善良な人々はこういうでしょう。「広域の安全に関わる問題だ。すぐに行動しなくては!」

最後はチャベスの演説の一説。
「もうたくさんだ。我々はいかなる犠牲を払っても自由になると決めたのだ」