A.北朝鮮問題 3つの側面
北朝鮮問題とは、なによりもまず核+ミサイル問題です。これについては疑問の余地はありません。
北朝鮮が核+ミサイルに固執する限り、国際的な制裁は必要です。これについても疑問の余地はないでしょう。
ただし疑問の余地が無いのはここまでです。その先には大きな問題が横たわっています。
端的に言えば、それは次の三つです。
1.私たちは北朝鮮にどういう国家(隣国)になって欲しいのでしょう。
2.北朝鮮が核+ミサイルを放棄した場合、私達はなにをしてあげられるのでしょう。
3.北朝鮮だけでなく中国・ロシア・韓国もふくめて東アジアはどういう地域になるべきでしょうか。
B.問題解決のためには「枠組み」の考え方が必要
この3つは次のように言い換えることもできます。
1.日朝両国関係の枠組み
2.非核・平和・安全保障の枠組み
3.東アジア地域の共存・共栄の枠組み
つまり、落とし所とかギブアンドテークとかいう考えが必要なのです。また、大枠と個別論、短期見通しと長期展望のすり合わせなどが必要です。さらに相互信頼の醸成が不可欠です。
これらを念頭に置きながら、解決の方向を見出していかなければ、北朝鮮問題に出口はありません。
もし「こんな国なんか目障りだから潰してしまえ」というのなら、北朝鮮が核+ミサイル開発に固執するのを責めることはできません。
C.6カ国協議
南北朝鮮に米中、さらに日本とロシアを加えた6カ国協議は、事態をコンセンサス方式で進めていく確実な方向としてゆっこうな枠組みでした。これはBの2に相当する枠組みであり、潜在的にはBの3の問題までふくむものでした。

6カ国協議の前段階として、米朝両国と中国という3者による対話の試みがありました。これは北朝鮮の「核疑惑」が発生したときに、中国を仲介者として米国と北朝鮮が接触する枠組みのものでした。

中国が日本、韓国、ロシアに仲介の役割をともに担うよう要請し、すべての関係国が参加する枠組みに拡大したのです。 
したがってあくまでも会議の主役はアメリカと北朝鮮であり、議題も北朝鮮の核問題に限定されていました。
ところが始めて見ると非常に優位性を発揮したのです。まずその公平さです。対立を客観的に眺めることができる仲介国が多く入ることで、多国間の枠組みが大いに力を発揮しました。これによって会談の公明さと公正性が維持され、同時に共通認識も形成されました。
その後、6カ国協議は形骸化しふたたび核開発へと動いていったのですが、いまでもその有用性は保たれていると思います。

多くの関係者は、「この枠組みは、今後、北東アジア地域の多国間協力の土台になり、安全保障協力機構の母体として発展する可能性がある」と期待しています。
D.アメリカ 部外者なのに当事者

6カ国協議の枠組みでおかしなことがあります。一貫して交渉の中心になっているのは北朝鮮とアメリカですから、アメリカは6カ国交渉の当事者そのものです。
しかしアメリカは東アジアの住人ではありません。そういう点では東アジアの平和と安全、相互関係を築くのには関係のない部外者なのです。これは北朝鮮問題を考えるのにあたってはとても大事なポイントです。

94年の朝鮮危機のとき、ラック在韓米軍司令官とレイニー駐韓大使は「米国人の避難計画」を進めました.ラック司令官は「北朝鮮はソウルに向けて最初の12時間に5千発の砲弾を浴びせる能力がある.もし再び戦争となれば死者は100万人に達する.米軍にも10万人の犠牲者が出るだろう」と本国に報告しています.
つまり、アメリカは福島原発の事故の時に東京から逃げ出したように、朝鮮有事の際はソウルから逃げ出し、ソウルを見殺しにするのです。
アメリカの第一戦略目標は長距離ミサイルにあり、ここを一撃できればあとはさほど心配なことはありません。あとは中・短距離ミサイルの射程距離からできるだけ離れましょうということになります。
だからアメリカの抑止力を当てにするとしても、アメリカを守護神と見誤ってはいけません。むしろ暴発の危険は“部外者”であるアメリカの側にあるということを見通して置くべきでしょう。

E.安全→平和→統一の戦略

韓国の盧武鉉元大統領は、現職時代に南北関係の進展の展望についてこう語っています。
1.現在の南北関係から統一に至るまでの戦略的価値の優先順位は、「安全・平和・統一」の順である。まずは南北間の平和定着が優先する。統一論はその後である。
2.「統一」については、「経済統合、文化統合、政治統合」という三段階論を経なければならない。
3.「統一を得るために平和を放棄し戦争を選んだという歴史も存在するが、韓国はそうするわけにはいかない」と表現しました。
朝鮮半島有事となればアメリカの第一撃が北朝鮮の主要施設を壊滅に追い込むでしょう。これに対し北朝鮮の短距離ミサイルや砲撃がソウルや韓国の主要都市に降り注ぐでしょう。
どちらにしても南北朝鮮の人々に最大の犠牲が押し付けられることになります。
このような形での決着は絶対に避けるべきだと思います。
F.北東アジア平和協力構想

日本AALAでは「北東アジア平和協力構想」への賛同署名を行い、大きな成果を上げた。

この「平和構想」は対話の中で諸問題(北朝鮮、尖閣・南沙諸島など)を解決していこうという姿勢である