菱脳と後脳の違い

恥ずかしながら、これまで菱脳と後脳の違いを知らなかった。

言い訳になるが、解剖学の授業の頃全共闘がバリケード封鎖していて半年間授業がなかった。

我々は半年間勉強しないで、いわば半年繰り上げ卒業した形になっている。私は学部1年生だったから、解剖、生理、生化学などの知識が欠落している。

神戸学院大学の解剖教科書にはこう書いてある。

1.単一の袋であった脳胞は、前脳胞・中脳胞および菱脳胞の3個の袋が頭尾方向に連なった状態となる。

2.脊髄の頭側に続く菱脳胞は、長軸を頭尾方向に向けた細長い菱形を呈する。これが菱脳という名前の由来である。

3.菱脳は頭側半の後脳(Metencephalon)と尾側半の髄脳(Myelencephalon)に分けられる。

4.こうして胎生第6週の終り頃には、脳の原基は頭側から尾側に向かって、終脳・間脳・中脳・後脳・髄脳の5部が連なった状態となる。

5.発生の早期にはまず菱脳が非常に大きくなり、ついで中脳が発育する。…この時期には前脳、特に終脳の半球胞の発育はなお弱小である。

まことに分かりやすい説明でありがたい限りである。ただし、3.の後脳と髄脳に分かれるのがいかに分かれるのか、なぜ分かれるのか、は不明である。

いづれにせよ、以上のことから、私の唱える「三脳説」の前脳・中脳・後脳の三点セットは前脳・中脳・菱脳と呼ぶか、あるいは終脳・間脳・中脳・後脳・髄脳の5脳セットと改称するかしなければならない。

私はそのいずれもとらず、強引に菱脳を便宜的に後脳と呼ばせてもらうことにする。上がモーニングで下が袴というのは私の美意識に反する。