DNA-RNA-リボゾームのおさらい

どうもこの辺が一知半解のところがあって、意外とあとで混乱する。

カチッとポイントを押さえておこう。

A. DNAとヌクレオチド(DNAの最小単位)の構造

1.マクロで見たDNAの構造

とにかくカタカナ名詞がたくさん出てくるので整理する。

最初は大づかみに見ておく。マクロと言っても目に見えるほどのものではないが。光学顕微鏡なら見える大きさだ。

普段は細胞核の中に核膜に包まれている。二本の紐の形で折りたたまれている。

長い紐だが遺伝子部分はその一部にすぎない。DNAを鉄道だとすれば、駅の部分以外はただの線路である。

厳密には二本鎖構造の紐をDNAと呼ぶ。1本の鎖は厳密にはポリ・ヌクレオチドであるが、便宜上これもDNAと呼んでいる。。

2.ヌクレオチドの構造

ポリ・ヌクレオチドというのはヌクレオチドがたくさんつながっているという意味である。

超長い真珠の首飾りのようなもので、一つ一つの真珠がヌクレオチドである。

今度は一番小さい分子レベルの話に一挙に変わる。映画で言うと画面が急にかすんで、子供の頃の回想シーンに変わった感じだと思ってください。

ヌクレオチドは5角形に炭素が結合した五炭糖になっている。これをデオキシリボースという。

五炭糖には二本の腕があり、片手にはリン酸塩を持っているが片手は空いている。デオキシリボースにはもう一つの腕がありこれが核酸と結合する。

リン酸塩は接着剤の役割としている。リン酸塩の遊離末端は隣の人の空いた手とつながる。

こうしてリン酸塩・五炭糖・リン酸塩・五炭糖・リン酸塩…という紐が出来上がる。それぞれの五炭糖には核酸がぶら下がっている。

3.二重鎖の形成

そこにもう一本のポリヌクレオチドがやってくる。どこからやってきたのかは、ここでは問わない。

そうするとお互いの核酸の遊離端が接合し、結合する。

接合する相手は決まっているので、これが狂うことはない。かくして数珠つなぎのポリヌクレオチドがはしご状に結合した二本鎖DNAが完成する。

B.DNAの基本的な働き

1. DNAからm-RNAへ
DNAの基本的な働きは蛋白の合成にある。といっても自分でタンパクを作るのではなくタンパク合成に必要な情報を伝えることだ。

製造工場はリボゾームであり、そこにメッセンジャーを派遣して命令を伝えるのがDNAの役割だ。

社長はある生産ラインを稼働させるために直接現場に赴くわけではない。伝令を通じて指示を出す。

あるタンパクを作ろうとした時は、mRNAを呼んで必要な情報を渡す。そして対応する遺伝子部分の核酸結合を外し、mRNAに読み取らせる。これを行うのがRNA合成酵素である。

mRNAはDNAと同じポリヌクレオチドだが、DNAほど大きくはない。駅の長さだけあれば十分である。

2. mRNAからtRNAへ

はじめに覚えておかなければならないのはタンパク質はアミノ酸の集合であり、タンパク合成はアミノ酸づくりから始めなければならないということである。

アミノ酸は嫌になるくらい乱雑なグループで、そういう意味ではヌクレオチドに比べて野性的とも言える。

ヌクレオチドの五炭糖に相当する炭素の構造があり、リン酸塩と核酸の代わりにアミノ基(HN)がついている、と言えなくもない。

どういうわけか生体が利用するのはこの内の20種だけだ。この20種がくっついて蛋白になる。

なお分子量が5000以下のものはポリペプチドと呼ぶが、蛋白とのあいだに本質的な違いはない。したがってポリペプチドという言葉を使わなくても作業は説明できる。

ということでリボゾームはアミノ酸を作るのだが、mRNAの情報のおかげで、それはタンパクの構成成分となる。

ここではmRNAが各現場主任(tRNA)にアミノ酸の設計図を与える。その設計図がコドンというものである

コドンは3種類の塩基の組み合わせセットである。3種類の塩基の組み合わせで27種類の信号ができるから20種類のアミノ酸を作るには十分だ。

こうやって数百人から時には数千~数万人のtRNAを使って、mRNAはタンパク質を合成するのである。

後半をかなりとなばしたが、とにかくこうやってタンパク質が合成されていくことになる。

C. 細胞分裂とDNA

本来はここまで語ってから、特殊な DNAの働きとして細胞分裂と増殖、生殖について語るべきだ。

「染色体屋」さんは出番でもないのに。しゃしゃり出てくる。彼らのお陰で何人の受験生が泣いたことか。

これは蛋白の合成という日常の作業とはまったく異なるシークエンスであり、DNA本体が命がけで携わる一世一代の大勝負である。

普段は核膜の中でmRNAを相手にご託宣を述べていれば済むのだが、細胞分裂時にはみずから矢面に立ってパフォーマンスを展開しなければならない。その間はRNAはただそれを眺めるだけだ。

DNAは23の染色体にみずからを分割する。ヒストンという巻き芯が登場し、これに巻き付くことで体積を縮小させる。この状態をヌクレオソームという。

ヌクレオソームが幾重にも重なったものがクロマチンと呼ばれ、それがさらに体積を縮小させたものが染色体と呼ばれる。

この時核膜は消失し、染色体は細胞質内で裸で分裂過程を進行させなくてはならない。

しかしこれらの話は、ヌクレオソームやクロマチンなどという紛らわしい名前は覚えないほうが良い。

遺伝の話とゲノムの話を行動させるのは、生物学の教師の悪い癖だ。