下記もご参照ください
出会い系バーの基礎知識

検索していくうちにいろいろな文章が引っかかってくる。よく経験するのだが、グーグルの検索は最初の2,3ページは似たような記事が多くて「こんなものか」と思うのだが、それを越えると石混じりの中にところどころ玉が混じっている。

今回はこれがそうだ。

「郷原信郎が斬る」というブログの読売新聞は死んだに等しいという記事だ。6月5日付となっている。

相当ごつい文章で、いささか胃もたれがするが、この問題に正面から取り組んでいる。

まず、問題の読売記事の全文が紹介されているが、これが前出の記事とだいぶ違う。

こちらが全文のようなので、あらためて紹介する。

文部科学省による再就職あっせん問題で引責辞任した同省の前川喜平・前次官(62)が在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。

教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ(ア)。

関係者によると、同店では男性客が数千円の料金を払って入店。気に入った女性がいれば、店員を通じて声をかけ、同席する。

女性らは、「割り切り」と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い。報酬が折り合えば店を出て、ホテルやレンタルルームに向かうこともある(イ)。店は直接、こうした交渉には関与しないとされる(ウ)。

複数の店の関係者によると、前川前次官は、文部科学審議官だった約2年前からこの店に通っていた。平日の午後9時頃にスーツ姿で来店することが多く、店では偽名を使っていた(エ)という。同席した女性と交渉し、連れ立って店外に出たこともあった。店に出入りする女性の一人は「しょっちゅう来ていた時期もあった。値段の交渉をしていた女の子もいるし、私も誘われたことがある」と証言した(オ)。

昨年6月に次官に就いた後も来店していたといい、店の関係者は「2~3年前から週に1回は店に来る常連だったが、昨年末頃から急に来なくなった」と話している。

読売新聞は前川前次官に取材を申し込んだが、取材には応じなかった。

「出会い系バー」や「出会い系喫茶」は売春の温床とも指摘されるが、女性と店の間の雇用関係が不明確なため、摘発は難しいとされる(カ)。売春の客になる行為は売春防止法で禁じられているが、罰則はない(キ)。

前川前次官は1979年、東大法学部を卒業後、旧文部省に入省。小中学校や高校を所管する初等中等教育局長、文部科学審議官などを経て、昨年6月、次官に就任したが、天下りのあっせん問題で1月に引責辞任した。

郷原さんの理論は次のような組み立てになっている。

1.記事の中で直接的事実は二つだけ

記事の中で、前川氏の行為そのものを報じているのは二つに留まる。

それ以外は、出会い系バーの実態等に関する一般論だ。それは「援助交際が目的」と“推認”させようとする伏線になっている。

二つの事実とは

①前川氏が出会い系バーに頻繁に出入りしていたこと。「同席した女性と交渉し、連れ立って店外に出たこともあった」ことである。

②店に出入りする女性の一人の発言。「しょっちゅう来ていた時期もあった。値段の交渉をしていた女の子もいるし、私も誘われたことがある」

ということで①は紛れもない事実だが、それが買春目的であるとする根拠は、②の女性の「値段の交渉をしていた。私も誘われた」という発言のみである。

すなわち、この記事の核心的事実は一女性の発言によってのみ成り立っていることになる。

ただし「何の値段」の交渉をしていたのかは不明瞭である。前川氏に肉体交渉の意図がなかったことは各社の証言に明らかである。

2..どうしてこんな記事が掲載されたのか

読売記事については、二つの可能性が考えられる。

一つは、官邸サイドから情報を入手しただけで、何の取材も行わずに、「関係者証言」をでっち上げた可能性である。

もう一つは、前川氏が「交渉」「値段の交渉」を行っていたという曖昧な表現で誤った「印象」を与えようとした可能性である。なぜなら関係者取材をすれば、前川氏の目的は明らかだからだ。

前者であれば、「関係者証言のねつ造」という重大な問題となる。

後者であれば、曖昧な言葉で事実とは逆の誤った印象を与えるものである。

どちらも、新聞報道として到底許されることではない。

実は、1と2のあいだに長い論証部分がふくまれているのだが、いささか骨っぽくて要約するのは困難である。直接ご一読いただければよろしいかと思う。