「トランプ減税」という赤旗記事が要領よく内容をまとめてくれている。

合田寛さんの談話によるもので、見出しは「財政基盤の掘り崩し」となっている。

まずは中身の紹介。読み込んでいくと、

1.巨大多国籍企業への優遇

2.富裕層への優遇

3.法人税概念の放棄

の3つに分かれるようだ。

1.巨大多国籍企業への優遇

まず、巨大多国籍企業への優遇としては、

A) タックスホリデー構想

タックスヘブンには現在2兆ドルが溜め込まれていると言われる。これを国内に還流させるために、1回限りの低率課税を行うというもの。

税金泥棒に恩赦を与えて、返さなくてもいいよという仕掛けだ。

法の意味は根本的に失われる。

合田さんは、

資金は還流しても、それは自己株の買い取りに向かい、国内投資には向かわない。したがって経済効果はない。

としている。

B) 国外所得免除方式

現在は「全世界所得課税」と言って、会社の全利益に対する課税方式になっているが、この内、海外子会社からの配当には課税しないようにするというもの。

ちょっとややこしいが、海外の子会社の利益をそのまま送金すれば税金を取られるが、タックスヘブンのダミーに送金して、親会社はダミーからの配当を受ける、と言うかたちにすれば税金はかからないということだ。

企業がどうするか、猿でもわかる。これは「国外所得への課税免除」そのものだ。

その結果どうなるか、ますますタックスヘブンに所得を留保することになる。

2.富裕層への優遇

大企業の利益は最終的には個人=富裕層に還元される。直接税中心主義の思想からすれば、そこからしっかり取ればいいという理屈も成り立つ。

しかしトランプ減税はここにもしっかり手を打っている。

A) 個人所得税

個人所得税の税率は、最高税率39%を35%に引き下げる。税率7段階を3段階に「簡素化」するというもの。

「代替ミニマム税」の廃止についても書かれているが、内容がわからないので省略。

B) 遺産税の廃止

日本でいう相続税だ。

これは大きい。直接税思想の根幹に触れるものだ。世襲制が公認され、社会が固定化される。これは社会の自殺行為だ。

アメリカの遺産税の税率は最高で40%、これでも低すぎると思うが…。

3.法人税概念の放棄

トランプは法人税を現在の35%から15%に引き下げると言っている。半分以下だ。これは引き下げというより、そもそも法人税という概念の放棄を意味する。

率直に言って、これは国際問題だ。世界各国が法人税の引き下げ競争をやっている。行き着く先は全世界のタックスヘブン化だ。

もちろん各国は法人税減税以外にも各種の優遇策により企業の税率を抑えている。

トヨタの社長が告白したように、5年間1文の税金も払わないで済ましている会社もある。

それはそれで大問題だが、法人税減税という正面からの攻撃は、税制の根幹に関わってくる大問題だ。

いったい、国家の財政基盤はそれで成り立つのか、国家というものを「夜警国家」に変質させるのか、という根本的な疑問がある。


テレビを見ていたら、「なんとか先生の熱烈討論」とかいうアメリカの討論番組をやっていて、トランプ支持派の人が一生懸命に「アメリカ・ファースト」論を擁護する論陣を張っていた。

司会者のなんとか先生は、かなり意図的にトランプ支持派の意見を引き出し、「アメリカ・ファーストで何が悪い?」みたいな雰囲気を作り出そうとしていた。

不愉快で途中でやめてしまったが、「アメリカ・ファースト」論の擁護者は一つも間違っていないのである。だからそこを論点にしてもしょうがないのだ。

問題は、①アメリカ・ファーストが、アメリカン・ピープル・ファーストにはなっていないことだ。②それはアメリカン・エンタープライズ・ファーストであり、③いますでに世界はアメリカン・エンタープライズ・ファーストであり、そのためにアメリカン・ピープルが苦しめられていることだ。

そしてトランプがやろうとしていることは、アメリカン・ピープルの犠牲の上にアメリカン・エンタープライズ・ファーストの世界をさらに広げようとしていることだ。

ということを、事実を持って具体的に明らかにしていくことだ。おそらくアメリカ・ファーストを支持している人たちは、「99%の人たち」であり、本来我々のもっとも心強い味方の人たちのはずだ。

彼らは反ヒラリーであり、反富裕層であった。本来はバーニー・サンダースと心を通わせ合うべき人たちであった。

問題はむしろ、彼らを見る我々の目線の問題にあるのかもしれない。我々はバーニーが彼らを見るように、彼らを見なければならないのだろうと思う。