前の記事に水をかけるような記事がある。

m3.comというサイトの

SGLT2i「理想的な利尿薬」の可能性

という記事。

サブ見出しは「心疾患治療薬として既存利尿薬にない優位性と”併用禁忌薬”」

日本高血圧学会総会での旭労災病院の木村玄次郎院長のレポートを要約したものらしい。

いかにも期待させる見出しだが、中身は逆。

* 謳い文句はいろいろあるが、それは一次的な作用であり、二次的には低用量のサイアザイド系利尿薬(フルイトラン1/2錠)と同等と考えられる。

* 利尿剤が効くのはループと遠位尿細管、集合管だけだ。近位尿細管に働いてもそれより川下でキャンセルされてしまう。

* 心不全患者のうちRA系薬、β遮断薬が投与されている群に追加するときのみ有効。利尿剤、抗アルドステロン薬使用群への追加は無効。

* 利尿剤との併用は禁忌。したがって中等・重症例には適用なし。利尿剤が心不全の第一選択となっている日本では使い道なし。ただし利尿剤をガンガン使うのが趣味でないという医師には居酒屋の突き出し程度にはなる。

ということで「体には優しいが非力」という結論になりそうだ。