科学ニュースの森」というブログに下記の記事があった。

2012年03月14日の発信で、「生物の発生‐RNAワールド仮説は間違いか?」と題されている。

Early Evolution of Life: Study of Ribosome Evolution Challenges 'RNA World' Hypothesis

という記事の抄出のようだ。この記事はScience Daily という生物学情報サイトに掲載されたもので、原著となっているのは下記のもの。

Ajith Harish, Gustavo Caetano-Anollés. Ribosomal History Reveals Origins of Modern Protein Synthesis. PLoS ONE, 2012; 7 (3):

原著には下記の写真が掲載されている。渾身の1枚であろう。

リボゾームの進化

リボゾームのRNAと蛋白コンポーネントを進化の順に色分けしたもの。古いコンポーネントを赤、より新しいものを青で示している。
「二つの行程は深く共進(congruence)していることがわかる。これはリボゾーム蛋白がrRNAとともに進化したことを示唆する」とのコメントが添えられている。(画面の体裁上90度回転した)

以下が記事の紹介。

サマリー

イリノイ大学のGustavo Caetano-Anollesら、核酸のみからなるRNAワールドは、タンパク質の存在なしにはありえなかったと主張。リボソームの発生は、タンパク質とRNAが同時に進化することで起こったとする。

議論

RNAワールドをめぐる議論の中心は、リボゾームの成立過程にある。

RNAワールド論者は、

1) タンパク質を合成するリボソームの核心はペプチジルトランスフェラーゼ中心(PTC)である。

2) PTCの活性部位はrRNAからなっている。

3) したがってリボゾームの核心はRNAワールドの内部にある。

と主張している。

カエタノ・アノジェスらは、リボゾームの発展・進化の過程を時系列的に分析してみた。その結果、とりわけ2)のポイントについて、RNAワールド論者とは異なる結論に達した。

すなわち、

1) リボソームの基本構造はrRNAが入り込む前に形成されていた。

2) rRNAはタンパク質合成に関わる前には他の役割があった。

3) タンパク合成の萌芽期においては、まずリボソームやRNAを必要としない、リボソーム非依存性の「ペプチド合成酵素」があった。

4) RNAは、まずペプチド合成の補酵素として働くようになり、その後リボソームの機能に組み込まれた。


“Congruence”という言葉に、著者の気持ちが込められているように思える。その気持ちは共感されるべきものと思う。