次が龍学というサイトの「日本の龍神譚…オヤウカムイ」というページ。

アイヌは相争うこともあった。ポイヤウンペが洞爺湖の竜神オヤウカムイを襲う話は両者に確執があったこと、どちらかと言えば日本海側の勢力が攻撃的であったことを示唆している。

ポイヤウンペが洞爺湖に来ると、オヤウカムイという羽の生えた毒蛇がポイヤウンペを苦しめる。ポイヤウンペは滝の神様にかくまってもらうが、オヤウカムイは羽のある蛇六十匹、ただの蛇六十匹をかり集めて攻める。
滝の神は攻め殺され、ポイヤウンペも全身焼けただれて石狩におもむき、トミサンペッ・コンカニヤマ・カニチセ(トミサンペッの黄金山の金の家)に難を逃れた。(龍学より重複引用)

これは日本海アイヌが胆振のアイヌを攻めた話だ。結局撃退され、ポイヤウンペはほうほうの体で浜益に逃げ帰っている。

注意すべきは胆振アイヌが化け物扱いされていることだ。戦う相手を人間扱いしないのは侵略者に共通する心理機転であり、相手がウィルタであろうと同じアイヌであろうと関係ない。

日高でもオヤウカムイに関する言い伝えがあるらしい。

日高から西部の湖に怪物がいた。全身淡黒色で目の縁と口のまわりが赤く、ひどい悪臭があって、これの棲んでいる近くに行っても、またその通った跡を歩いてもその悪臭のために、皮膚がはれたり全身の毛が脱けおちてしまう。うっかり近寄ると焼け死んでしまう。

のだそうだ。したがって、彼らは退治されて当然ということになる。おそらくオヤウカムイの一族は結局は滅ぼされた。滅ぼしたのはオキクルミということになっている。

アイヌの黎明の英雄神オキクルミは、天上の神々に祈り、大みぞれを降らせ、寒さで動けなくなったオヤウカムイを斬った。

オヤウカムイのために、僅かに次のような挿話が残されている。

アプタ(虻田)の酋長の妻が病み、尋常の加持祈祷では験がなく、蛇神を憑神に持つ特別な巫女に頼んだ所、オヤウカムイが神懸かり、託宣を始めた。

ユーカラの語り口は明らかに侵略者の視点に立っている。このユーカラがアイヌ全体の物語となっているということは、胆振~日高の先住アイヌ人が最終的に征服され、その文化を圧殺されたことを意味しているのではないか。