むかし、高校生の頃だから、東京オリンピックの前、レコード屋に行ってため息を付きながら眺めていたレコードがある。

ライナーのバルトーク弦・打・チェレスタ、ライナーのローマの松、ミュンシュのオルガン交響曲と海、コンドラシンとRCAのイアリア綺想曲だ。これにアンセルメのダッタン人の踊り、オーマンディの山人の歌も加わる。

陳腐な言い方だが、めくるめく音の洪水に脳みそが方向感覚を失うのだ。

どうせ買ったって、家の貧弱な再生装置じゃレコード屋の試聴室で聞く音は出ないよなと、あきらめて帰ったものだ。

と言いつつバルトークだけは廉価版が出たときに買ったが、他はいつの間にか忘れていた。

今回久しぶりにようつべでミュンシュのサン=サーンスを見つけて聞いてみた。

相変わらずびっくりするほど音は良い。59年の録音とはとても思えないほどだ。とくにダイナミックレンジの広さには驚く。強音でも音が団子にならずに、各パートの音が明瞭に分離されている。

この頃のRCAの録音は世界最高レベルだったのだなあということがあらためてわかる。

ただし高音はざらつき艶はない。強音では折り返しがある。おそらくリマスターされた音源だろうが、原音の限界であろう。

もう少し新しい録音でいい演奏はないだろうかと探してみた。デュトワ、メータ、マゼール、バレンボイム、パーボ・ヤルヴィ…と一通り聞ける。良い時代になったものだ。

中で意外に良いのがジョルジュ・プレートル指揮ウィーン交響楽団の演奏だ。見た目の派手さはないが、目の積んだ演奏をしていて、普通にシンフォニックだ。とくに木管の美しさは印象的だ。

しかしミュンシュの刷り込みがひどくて、どんちゃか鳴ってくれないとどうも聞いた気がしない。「おうっ、はええとこどんちゃかやってくれ」という気分になる。

やはり、ミュンシュは空前絶後と言うべきか。

おっと、とんでもないものが出てきた。

オーマンディ・フィラデルフィアだが、こちらはFebruary 6, 1980の録音だ。その頃オーマンディーって生きていたっけ? Telarc SACD と書かれている。80年代にCDで発売されたもののリマスターらしい。

とにかくすごい音だ。

コメント欄がすごい。

Fuck, this Pipe Organ blow out my head and my speakers...

* This is why subwoofers were invented

むかし、ステレオが出始めの頃、ド派手な音のさわりだけ集めたサンプル盤みたいなものがあった。最初がツァラストラで、夜の女王のアリアだったり、最後がホルストのジュピターだったりする感じ。

この曲ってそれでいいんじゃない。プレートルには申し訳ないけど。

それで余白にオルガン独奏曲が入っているけど、「これで、オタクのコンソール使えるかしら?」という感じで響き渡る。

お早目のダウンロードを