引き続き瀬川さんの本から、抜き読み。 北海道の縄文人の主食は海棲哺乳類(アザラシ、オットセイ)だったそうだ。 米田穣さんという人が2012年に「縄文時代における環境と食生態の関係」という論文の中で発 表しているそうだ。 これは「同位体食性分析」という方法で明らかになったもので、古人骨のコラーゲンの分析を するとわかるらしい。 亡くなる前の10年間、主として食べていたものの成分が反映されるようだ。 ある意味で意外である。
モヨロ貝塚とか大森貝塚というから、わたしはてっきり魚や貝を食べ ていたのかと思っていたが、それはおかずみたいなものということだ。
縄文人はやることがでかい。 米田さんは、「北海道の縄文人が肉食主体であったのは、彼らがマンモスやオオツノシカに依 存していた旧石器時代人の伝統を受け継いでいたからではないか」と推測している。
なにか縄文人に対するイメージが変わった。縄文の暮らしは結構ダイナミックかつ戦闘的なのだ。むかし「 ギャートルズ」という漫画があったのが思い出される。

ネットで調べたところ、米田穣(みのる)さんは1970年生まれ。東大理学部生物学科を卒業し人類学を専攻されている。

「古人骨の同位体分析による食性復元」と「放射性炭素年代の高精度化」が研究分野で、前者については下記のごとく記載されている。

過去の人びとが環境にどのように適応してきたのかを、骨にのこされた化学的指標から復元する研究を行っている。とくに、タンパク質コラーゲンの炭素・窒素安定同位体比から、日本列島に暮らしていた人類集団を中心について研究を行っている。

「新しい分析手法でこれまで知られていなかった過去の人々の生活ぶりを明らかにしていきたい」というのが目標である。
ということで、2001年度の科研業績が以下の通り
噴火湾沿岸から出土した縄文時代人骨のタンパク質を抽出し、その炭素・窒素安定同位体比および放射性炭素の含有率を測定した。
その結果、北海道の先史時代人骨では炭素および窒素の安定同位体比が非常に高いことが示された。これは海産物から多くの割合のタンパク質を摂取しているためと考えられる。
同時に、放射性炭素年代でも陸上の哺乳類と比べて600年程度、見かけ上古い年代値が示された。これは海獣による海洋リザーバー効果が食物を通じて、古人骨に反映していると考えられる。
…内陸の縄文時代遺跡の人骨を分析したところ、個体によっては数十%のタンパク質が海洋リザーバーに由来している可能性が示され、サケなどの遡上性淡水魚の利用が示唆された。
放射性炭素年代の高精度化は土器の編年変化に比べると、はるかに大きな情報が得られる可能性もあり、成果に期待したいところです。
日本人の起源 5 北海道に暮らした人びとの食生活―北海道の続縄文文化と本州の弥生文化―
日本人への旅 食生態にみる縄文文化の多様性―北海道と琉球諸島から考える
縄文中期末の「人口激減」に関する同位体地球化学と形質人類学による総合的研究
などの論文(題名がいかにも“科研費狙い”っぽい)があるようだが、目下のところネットでの閲覧不能。