P680に取り掛かろう。まずはP680 - 光合成事典 - 日本光合成学会から

 光化学系Ⅱの一次電子供与体クロロフィルaの名称.

光化学系Ⅱタンパク質複合体中のマンガンクラスターにおける水分解反応を可能にするため,約1.1 Vというきわめて高い酸化還元電位をもち,これが他の型の光化学反応中心の一次電子供与体とは著しく異なった特徴をなしている.

P680が光化学系Ⅱタンパク質中のどのクロロフィルに対応するかについては様々な議論がある.

電荷再結合によって生じる励起三重項状態は,二量体クロロフィルとは別のアクセサリークロロフィル上に主に存在することが明らかとなっている.

初期電荷分離ののち,正電荷はP680上に比較的安定に存在し,数十ナノ秒でチロシンZを酸化する.

ということで、さっぱりわからない。

最初の1行からわかるのは葉緑素の形態の一つで、光エネルギーを受けて電子を放出する働きがあるということだ。

「マンガンクラスターにおける水分解反応を可能にする」ということなので、本体の方ではなく「酸素発生中心」の方に関係するクロロフィルのようだ。

P680は最終的にはチロシンZを酸化することでその役割を終了するらしい。酸化するということは電子を付加するということだ。


つぎは光合成系構成要素 - 植物生態学講座から

クロロフィルが吸収したエネルギーは励起エネルギーとして次々に別のクロロフィルに伝達され、最終的に、コアに存在する反応中心P680に伝達されます。このP680が励起エネルギーを受け取ることで電子伝達が始まります。

…コアでは電子伝達が起こります。P680→フェオフィチン(Phe)→QA→QBとなります。フェオフィチンというのは。クロロフィルaからマグネシウムイオンが外れたものです。QA,QBはどちらも結合型のプラストキノンです。

…光エネルギーにより励起され、電子を渡してしまったP680には電子が補充されます。この電子は水を分解することで得られます。

…水はマンガンクラスタで分解され、取り出された電子はチロシンを経てP680に渡されます。

この分解過程はまだよくわかっていないが、酸素が出るまでには、4光量子が必要だそうだ。

…P680が酸化されるたびにマンガンクラスタが電子を渡し、4回電子を渡すごとに水の1分子を分解し、酸素を発生させているのだろうと考えられています。


これは光合成事典の記述と明らかに矛盾する。

というより、光化学系Ⅰのさまざまな記述がいつも矛盾しているところだ。

はたして光合成学会が言うように、「マンガンクラスターにおける水分解反応を可能にする」のがP680の役割なのだろうか。

他の文献を読むとどうもそうは思えない。むしろ水分解装置から電子をもらう側のようにしか思えない。そしてそのエネルギーは水分解のために使われるのではなく、電子伝達系へと流れていくのではないかと思う。

ps2-21

      PSⅡの電子伝達の反応式

光合成事典の記述は、少なくとも、事典としてはふさわしくない相当のアイマイさをふくんでいると言わざるをえないのではないか。