その前に、前項のまとめをしておく。

1.光合成の概念

ここではまだ光合成の仕組みはわからない。概念だけ教えてもらった。

それによると、光合成は二つの装置を通じて行われる。それは今のところブラックボックスだ。入っていくものは光エネルギーであり、出てくるものは炭水化物(炭素と水素の結合したもの)だ。

第一の装置はさらに二つの仕掛けからなっている。A段階では光エネルギーが電子エネルギー、すなわち電流に変えられる。B段階ではこの電流により水が電気分解され酸素と水素に変えられる。

酸素は放出され、荷電した水素がエネルギーとして第二装置に送り込まれる。

第二段階では空中から取り込まれた二酸化炭素が原料として用いられる。水素は二酸化炭素から酸素を取り外す還元力として働き、みずから炭素と結合して炭化水素(有機物)を形成する。

2.工学的発想から見た光合成

自然界では炭素は水素よりはるかに酸素との親和性が高いから、酸素があれば水素を離して酸素と結合する。この時引き離された水素からエネルギーが発生する。

いわば炭化水素は水素エネルギーの貯蔵形態の一つだということになる。

この過程については水素発電の原理と同じだから馴染み深い。

つまり光合成はエネルギーを持つ水素を単離したことで、基本的な任務を完了しているのだ。

なんとなれば、その水素を液体化してボンベに詰めて輸送してやれば済むことなのだ。

ただし自然界にはそのような装置はないから、常温・常圧でそのエネルギーを保存する方法を見つける必要がある。そして生物はその方法を見つけたのだ。それが「水素を炭化させる」という方法であり、それを可能にしたのが自然界に大量に存在する炭酸ガスという物質だったのだ。

3.光エネルギーの水素エネルギーへの転化

とすれば、光合成の本質は第1段階にある。第二段階は蓄電装置でしかない。

これについては、太陽光発電などの再生エネルギーと比較しながら検討していくのが分かりやすいだろう。

ということで、次の講義へ進むことにする。