今宮さんの記事の隣に、「経済コラム」という囲み記事があって、これは記者が交替で書くいわば経済面の「潮流」みたいなものだ。
本日は金子記者の署名で「表の主役と裏の主役」というもの。この場合安保条約第5条が表方で、第2条が裏方だということになる。
今回の安倍首相の訪米は、表が尖閣諸島で、安倍首相はこのために経済協力という名の手土産を差し出したという評価であるが、これを安保条約と結びつけた発想が新鮮だ。金子記者のオリジナルかどうかは知らないが。
以下引用
今回の首脳会談では、米国の「日本防衛」を定めた安保条約第5条の適用範囲に尖閣諸島が含まれる、とトランプが表明したことが注目されました。
これと並んで、「互いに利益をもたらす経済関係の構築」と、「(アジア太平洋地域での)市場障壁の削除」との文言も書き込まれました。
これは安保条約の第2条、「国際経済政策における食い違いを除くことに務め、両国間の経済的協力を推進する」との条文に照応するものです。
安保条約の条文を今一度おさらいしておこう。
第二条: 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する
第五条: 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。(後段 略)

5条と2条のバーゲンという図式はレーガン政権発足時の「ロン・ヤス関係」に似ている。ともに癒着と従属を深める政策であることには変わりないが、どちらを売ってどちらを買うかという中身が逆になっている。
「ロン・ヤス関係」では日米貿易摩擦の中で5条を売って2条を買った。日本国憲法第9条に抵触することを知りながら、武力による貢献に一歩踏み出した。中曽根首相の「不沈空母」発言はこの時のものだ。これによって貿易摩擦を軽減しようと図ったが、それがムダだったことは歴史が証明している。
今回の安倍内閣は逆に2条を売ることで5条を買おうとしている。尖閣を安保の枠組みに組み込むことによって対中対決姿勢を確かなものにしようとしている。思えばそのためのTPPであった。そしてTPPでは不足だと蹴っ飛ばしたのがトランプ政権だ。
日米経済交渉という名の経済主権侵害が繰り返されてきた、その背景に安保条約第2条があることを、我々は忘れてはならない。日米同盟に追随することは、これまでにもまして屈服をもたらすことだ。それは日本経済の沈没へとつながっていく。それも過去の経験が明示するところだ。