最近、特養で数人ほど、何か分からないCRP陽性と貧血の方がいる。症状もない(認知はある)がそのままというわけにも行かず、なんとなくプレドニンを使ってしまった。

1日5ミリだから、べつに副作用もないが、当然のことながらCRPは改善し、遅れて貧血も改善してきた。

結果的にリウマチ性多発筋痛(PMR)でよかったのかなと思っている。ただRFも陽性に出たので困ってしまった。

むかし研修医だった頃は「リウマチにステロイドは使うな」と堅く戒められていた。骨がぼろぼろになった患者の写真を見せられたりして、刷り込まれている。

「もしリウマチならそっちの治療しなければいけないのかな」と思って、雑誌をめくってみると、「とにかくリウマチなら高齢者であろうとなかろうと、リウマトレックス」と書かれている。

しかし副作用のところには恐ろしげなことが書かれている。とても特養で認知+超高齢の、しかも無症状の人に使えるような代物ではない。

だいたいメソトレキセートといえば、私らの世代には抗がん剤だ。使うんなら家族にムンテラして承諾書もらう必要がある。

ところがPMRならプレドニンを使っていれば済む。それも少量で済む。

じつは、私の研修医時代はリウマチ性多発筋痛そのものがあまり知られていなかった時代で、地方会で「PMRの2例」と題して報告した記憶がある。

そのとき文献集めをしたのだが、国内文献で5,6題。洋文献も1ダース程度だった。北大の図書館で巻紙のコピー用紙を一巻き使った記憶はあるが、不思議なことに読んだ記憶がない。

外国ではむしろ側頭動脈炎が注目されていて、スカンジナビアの何処かから「巨細胞がどうの」とかいうレビューがあった。

治療はアスピリンの大量療法で、日本人の胃袋には到底耐えられないような量だった。どこかで「少量のプレドニンが奏功する」という報告があった。その後はプレドニンが標準治療のようになっている。

昔話はさておき、「それではリウマチでないという証拠はあるのか」、と言われるとない。鑑別法を探したが、結論は「鑑別はできない」ということだった。後からリウマチの所見が出てくれば「やっぱりリウマチだったんだね」ということになる。

問題はプレドニンをダラダラと使うか、リウマチの治療に切り替えるかである。リウマチの治療にはやぶさかではないが、リウマトレックス以外の方法はないのか、これが目下一番悩ましいところだ。

むかし小耳に挟んだリマチルとかリドーラとかサラゾピリンはどうなんだろう。しかしこれらはぱっとしないような話しか書いていない。

どうも結論としては、「そうだ、これはPMRなんだ。だからプレドニンで良いのだ」と割り切るのが一番かんたんなようだ。悪性腫瘍が隠れていようと、歌の文句じゃないが「#そんなことなど知りたくないの」だ。そうなればどのみち助かりようはない。

だいたいプレドニンほど有効域が広い安全なクスリはないのだ。副作用は熟知されている。それに5ミリとか2.5ミリなんていうのは鼻くそみたいなもんだ。チラージンやインシュリンと同じで補充療法だと思えばいい。

ということで、CRPと血糖値見ながらダラダラと使うことにした。ひょっとすると低ナトリウムにも効くかもしれんなぁ。