笹子トンネル事故からもう4年を経過したのだ。ずっと気にはなっていたのだが、何か事故原因がスッキリせぬまま時間が過ぎ去ってしまった。

やはり、アンカーボルト屋さんの「絶対に抜けない」という、必死とも思える訴えがどうしても耳に残ってしまうのである。

たしかに国土交通省の引抜き試験でも、工法そのものに「強度に問題はない」と結論付けられている。ということで、なんとなく迷宮入りしてしまった感がある。

7日の赤旗一面トップはその原因に関する記事。「おぉ、そうだったのか」と思わず膝を打ってしまう。名探偵ポアロの出現だ。

以下記事の概要を紹介する。

まず見出しを並べておく。

笹子トンネル天井板 トラック接触 事故前に2回

中日本高速 対応せず 崩落誘発か

技術者・学者グループが調査

この関連記事が15面にあって、こちらの見出しは

点検 12年の空白

中日本高速 笹子トンネル 天井板上部

見逃し、撤去引き伸ばし

ということで、だいたい見出しだけ見れば中身がわかるくらいしつこい。

結局、見出しのほとんどは調査グループの報告の要点であるから、まずはこの調査グループについて紹介しよう。

グループの名称は「笹子トンネルの真相を探る会」。詳細は不明だが、技術者や大学教授らで形成され、代表は大阪経済大学の西山豊教授。

会の趣旨は、事故の原因究明と、関係者の刑事告発をすすめること、いわゆる「中立機関」ではなく、行政から独立したものである。

当然、会社側の協力を得られる可能性はなく、公表された資料の分析・検討で得られた結論ということになる。そのことはあらかじめ念頭に置いておいたほうが良い。

報告の中核的事実は、崩落事故以前に起きた3回の事故。中日本高速の作成した資料の中から探し出したものである。

トラックが接触して上りトンネルの天井板を損傷させた事故は明らかになっているもので3回あった。このうち2回は大事故であった。

1回目は2000年。この時の事故の詳細は不明。

2回めの事故が発生(発覚?)したのは05年9月。発生現場は目撃されていないが、4地点で計540メートにわたって接触痕が見つかっている。

3回めは08年6月。このときは高さ25センチ、オーバーのトラックが進入し、3キロにわたって天井板と接触したまま走行した。

とうことで、ちょっと信じられない事故だ。それが1度ならず3回も起きているということだから、高さ制限ゲートも設けていなかったとしか思えない。それ自体が刑事罰に相当する大問題だ。

以上が第一の核心的事実

次が事故後の対応だ。

そもそも天井板は吊り下げ強度を基準にして設計されているはずで、横からぶつけられることなど想定していないだろう。

アンカーボルトの吊り下げ強度は一気に低下する可能性がある。そんなことはサルでも分かる。

だから想定外の状況に対して、しっかりと点検しなければならないはずだ。

それで次の表が、会社側資料に基づく点検実績。

ごちゃごちゃとして分かりにくいが、要するに1回目の事故の後を除けば、何にもしていないのである。

点検

ただ私には、こういった点検が行われたかどうかという以前の、技術屋としてのイロハが欠如しているところが決定的な問題だと思う。

高さ制限の遵守、接触事故の予防策と対応策、横ずれ負荷による引っ張り強度減弱の可能性、これらは道路屋として最低限頭において置かなければならない話なのではないだろうか。

医者なら三度やったら間違いなくクビだ。こいつらは反省さえしていない。

以前、私はこう書いた。

手抜き工事も、点検の手抜きも明らかだ。しかし、それはそれとして、調査の核心は技術的な問題がなかったかどうかだ。いかにして落ちたのかを明らかにしないと、なぜ落ちたのかという理由は見えてこない

反省を込めて書き直す。

なぜ落ちたのかという理由 が明らかになれば、いかにして落ちたのか はどうでも良くなる。落ちるべくして落ちたのだ。

以上が第二の核心的事実

そして最後の核心的事実。

すなわち、接触事故で損傷した部分が落ちたのだ、ということ。

崩落部

まさに落ちるべくして落ちたのだということだ。


「西山豊」で検索したら下記のレビューにヒットした。

笹子トンネル事故を考える 科学者の社会的責任から

「日本の科学者」(むかし読者だったことがある。いまでも続いているんだ)の2013年7月号の記事である。

西山さんの肩書は数学者であり、こちら方面はシロウトである。しかしよく調べている。残念ながら、この時点では結論としては「施工ミスではなく設計ミスだ」というところに留まっている。

ゲスの勘ぐりだが、ひょっとすると内部、あるいは調査委員会筋からの情報提供があったのではないか。

2013年01月09日

2013年01月09日

2013年01月09日

2013年01月10日

2013年01月10日

2013年03月17日


追記 西山さんからコメントをいただきました。コメントに対するリプライを下記に掲載しました。