シアノバクテリアから一気に原始生命体へと行ったのは、ゲノム話のややこしいところをバイパスできたという意味では良かったが、結局は共通祖先と原始生命体という2つの概念の絡み合いについて混迷を深めるという点では同じだ。

ここで、原始生命体の概念を一度保留した上で、古細菌と共通祖先の話に戻らなければならない。

まずは古細菌(archaea)から

名前について

ウィキの図を転載させてもらう。

膜につつまれた細胞小器官は存在せず、内容物は混ざっている。細胞質を細胞膜がつつみ、その外側を細胞壁が覆う。

見たところは細菌だが、rRNAの進化的な特徴は細菌とはまったく異なるのだそうだ。そこで最近では古細菌とは呼ばずに原語を音読みしたアーキアと呼ぶようになっているそうだ。

遺伝的には細菌よりは我々真核生物の方に近いということが分かる。意外である。人を見た目で判断してはならないという好例であろう。

名前のいわれであるが、アーキアというのは彫刻の世界で言われる「アーカイック・スマイル」と同じで、古いという意味のギリシャ語である。Archaebacteria(古細菌)の前だけをとったものだ。

アーカイックというと今はもう絶滅した種族のように聞こえるが、今も立派に生物界の一角を占めている。

ドブの中からメタンガスがぷくぷくと湧いてくるのはメタン菌のためだが、このメタン菌も古細菌に属する。「おなら」も腸内古細菌が産生している。(メタノブレヴィ・バクテル)

海洋においては、微生物の約20%を古細菌が占めるという。

他の生物の住まないような過酷な環境に生きていることが多いが、追いやられてそこに行ったのか、地球の過酷な始原環境の中で生まれ、そこに残ったのかは分からない。

遺伝子解析について

ヒトY染色体をねちっこく勉強してきたワタシにとって、rRNAの塩基配列を唯一の基準とする系統図は割りと馴染み深い。

いまではrRNAのみならず全ゲノムの解読も行われている。ウィキによれば

代謝系の遺伝子は真正細菌にやや類似、転写・複製・翻訳に関連する遺伝子は真核生物に類似するが、半分以上の遺伝子はどちらにも見つからない新規の遺伝子であった。

代謝経路について

一言で言えば、不完全なエムデン・マイヤーホフ型の解糖過程を取るものが多い。

正直のところ、ウィキペディアの記事はかなり読みにくく、とりあえずこのくらいにしておく。(このくらい真面目に読む素人もあまりいないだろう)