「新潟の共闘」を語る座談会が赤旗に掲載された。

現場の当事者によるきわめて貴重な経験なので、真剣に学ぶ価値がある。

座談会の出席者は参院選で統一候補として勝利し、県知事選でも大いに奮闘した森ゆうこさん。市民連合@新潟の佐々木さん、共産党県委員長の樋渡さんの3人だ。司会を樋渡さんが務めている。

まず参院選についての教訓を森さんが語る。

1.統一候補擁立の重要性

市民連合が働きかけ、共産党が柔軟に対応した。これが統一候補を実現した。

ということで、真の意味の「統一」候補を擁立できたことが重要な勝因だ。これを森さんは

まずだいじな中間の 目標を、みんなで共有 できた

と表現する。

ポイントは、それが中間目標にすぎないということだ。大義名分選挙に終始してきた共産党は、ともすれば統一候補を擁立しただけで有頂天になる。「統一候補で勝つ!」というところまで見通さなければいけない。

そしてそのためには形だけの「統一」ではなく、「勝つぞ」という気持ちを共有することが、中間ポイントとしての獲得目標なのだ。

統一するために統一するのではなく、「勝つ」ために統一する。統一したからには「勝つ」ということだ。

ついで県知事選の話に移る。そこでサラッと言っている言葉がかなりズシっとくる。

知事選でも市民と野党の共闘を確認し合い、米山候補が立候補表明したのは、告示のわずか6日前だった。

ということで「わずか」という言葉は、そこまで出遅れてしまったということではなく、ギリギリまで討議を尽くしたという意味のようだ。そして最大の確認点は、この共闘が野党間の共闘ではなく、市民と野党の共闘 だということだ。

森さんは意外な言葉を語る。

前知事が立候補を断念してから1ヶ月あったので、いろんな準備をする中で、さらに絆と信頼が深まった。

つまり、候補者選びに四苦八苦したのではなく、どう団結するかを徹底的に話し合い、細部に至るまで盤石の体制を作った。その上で担ぐお神輿を決めたということだったのだ。


そこでは勝つための戦略を意思統一することが重要だったし、「それをやれば勝てる」という確信を共有 することが重要だった。

それができたから、

あそこまで一体感のある選挙ができることはめったにないですね

という感慨が引き出せたのだ。


2.初動段階での市民連合の役割は決定的

森さんの後、市民連合の佐々木さんが語る。

彼も最大の勝因として、目標の共有を上げる。

そして共産党の樋渡さんの発言。

一応各勢力の各勢力の役割を述べて敬意を評しているが、言いたいことはこの一点につきる。

勝利の要因は、まず森さんが定数1の選挙で勝つ方法を知っていたことです

相当の衝撃だったようだ。正直に、自分たちはこれまで、定数1の選挙で勝つ方法を知らなかったと告白している。

これでは勝てない。勝てないと分かっている選挙には、よほど奇特な人でないと乗ってこない。ヘタをするとこちらの身内まで持っていかれる。

ただ

共産党としては草の根で頑張らせていただきました。

と言うのは謙遜がすぎる。理論闘争や思想対決など空中戦では、グラムシの言う「集団的知識人」たる共産党は、他者の追随を許さない圧倒的な力を持っているからだ。


3.野党共闘の3つの段階

この後の話はかなり具体的・個別的になってくるので、要点をつかむのは難しいが、いくつか拾っておく。

おそらく第一段階が共闘のあり方で、これは市民連合の佐々木さんがかなり活躍した。

参院選時に全野党と連合も入った連絡調整会議をもうけた。これが共闘が発展する上での大きな組織的支えになった。これは全国的に発信しても良いと思う。

ということで、初動段階での市民連合の役割、とくに民進党・連合まで包み込んでいく上での役割は非常に大きいということが分かった。

第二段階が、候補者選びの段階で、ここが一番厳しい。とくに共産党外しの傾向が民進党・連合から絶えず持ち込まれてくる。このときに連絡調整会議というラウンドテーブル方式を支えに市民連合と民主党・社民党がかなりつっぱらないと、持って行かれるか逃げられるかする。最悪の場合は持ち逃げされる。

ここでは共産党は出る幕がなく、「ここいらが落とし所」と見れば妥協する他ない。

森さんはこう語る。

候補者が決まるまでの産みの苦しみをともに味わったからこそ、絆が深まった。時には言い合うこともあったけれど、仏の樋渡さんが抑えに回っていました。

「産みの苦しみ」を味わったのは市民連合と民主党・社民党であろう。「絆が深まった」のは、市民連合・民主党・社民党と共産党のあいだであろう。(民主党内の野党共闘派もふくむ)

「仏の樋渡さん」は、個人の資質もさることながら、基本的には仏にならざるを得なかったからである。

そして第三段階が、選挙で勝つための行動計画ということになる。ここはそれこそ各団体が、それぞれに持てる力を発揮することになるが、肝心なことは勝つという気構えと、これで勝てるという確信である。これは森さんの最初の言葉だ。