プリウスがやばい

12月3日にプリウスのタクシーが病院に突っ込んだ事件。

「ブレーキとアクセルの踏み間違い」と考え、最近頻発する高齢ドライバー問題と同じだと思っていた。

しかしそれに疑問を呈する記事が赤旗に掲載された。遠藤記者の調査報道だ。

1.ペダルの踏み間違いが考えにくいわけ

まず、記者はヒューマン・ファクターが考えにくい理由を列挙する。

A) 運転手は64歳で高齢とはいえない。健康状態は問題なく、アルコールも検出されていない。個人タクシーで過労状態でもない。

B) 94年に個人タクシーの営業許可をとって22年、熟練ドライバーということができる。運転の技倆・経験ともに申し分ないといえる。

C) 車は「ブレーキが利かない」状態で、350メートルを暴走している。この間、および事故直後においても運転手の意識状態には明らかな異常はなく、体調の変化もない。

これらの点から、記者はきわめて慎重な言い方ながら、「プリウスの側に何らかの問題があったのではないか」と強く示唆している。

2.プリウスの側に問題があった可能性

そこで、記者はプリウスの側に問題があった可能性について調べている。

A) 関係者の証言

自動車業界関係者(匿名)は「運転技術があるタクシーの運転手が、20~30メートルならまだしも、300メートルも暴走して、その間何も手を打てなかったのは奇妙だ」と話します。

B) 国交省の「不具合情報」

国交省は01年以降、ユーザーの苦情を「自動車のリコール・不具合情報」で開示している。

「プリウス」で検索すると、「ブレーキの不具合」が128件あった。また「エンジンの急加速(吹け上がり)」が17件あった。

もちろんこれらすべてが製品の不具合に起因するものではないだろうが、実際にあるのだ。

3.緊急時の対処法がない

ここが一番の問題になる。今回の事件は、緊急時対応法が事実上なかった可能性を示唆している。プリウスのような高度に自動化された製品においては、フェールセーフ機構のあるなしは致命的なものとなる。

A) トヨタ側の説明

取説に「車両を緊急に停止するには」という項目が書かれている。

①ブレーキペダルを両足でしっかりと踏み続ける

②シフトをN(ニュートラル)にする

③パワースイッチを3秒以上押し続けて、ハイブリッドシステムを停止する

ただハイブリッドシステムが停止すると、パワーブレーキ、パワーステアリングなどが効かなくなるらしい。

「ブレーキの利きが悪くなり、ハンドルが重くなるため、車のコントロールがしにくくなり危険です」と警告されている。

B) トヨタのおすすめ

記者は取説を踏まえた上で、トヨタ自動車東京本社に問い合わせた。

答えは以下の通り。

(取説)は予期せぬ事態が起きたときに備えて、それに対処するために記載しているだけだ

お薦めしているわけではないということだ。

通常は暴走などの具体的な不具合は想定していない。

「なぜならプリウスは絶対安全だから」ということなのか。原発と同じ論理で、「安全神話」の上に「想定外」の言い訳が乗っかる構造だ。

フェールセイフの発想はそもそも存在しないのだ、ということになる。

4.私のささやかな経験 自動装置は壊れるものだ

20年前、エプソンのラップトップを使用中に突然ピンク色の煙が上がった。煙は5秒ほどの間猛烈に吹き上げた後自然鎮火した。もちろんエプソンはお陀仏となった。

15年前、ブラックアイスバーン状態でカペラを運転していた。スリップした途端にエンジンは切れ、ハンドルは固定され、車はそのまま進んだ。赤信号で停車中の車に追突して止まった。そもそも20キロ程度のノロノロだったから、幸いなことに先方は無傷だった。

半年前、レノボのパソコンが高熱を発しお釈迦になった。16万円の当時最新機だったが、修理に出したらCPI周りが溶けていて、修理不能と言われた。

1週間前、我が家の電気冷蔵庫が突然止まった。冷凍食品は全て解けてだめになった。日立のサービスマンが来て天板を開けてプリント基板をちょいといじったら元通りになった。

「最近は自動調整機能が極めて多いので、リレーが混線してしまう」という話だった。「よくあるのか」と聞くと返事を濁していたが、少なくはないようだ。

そういえば、20年近く前、近くの北広島の養護施設に自衛隊のジェット機から180発の機銃弾が撃ち込まれる事件があった。

あれも、パイロットが操縦桿を右旋回したら、自動発射装置が誤作動してしまったのが原因だった。

機械は壊れるものだ。しかも壊れたら対応不能だ。

装置の心臓部はブラックボックス化し、いざという時に手に負えなくなっている。