シナプスの勉強が完全にストップしている。

もともと赤旗の家庭欄に載った「ストレス→ステロイド過剰が脳を壊す」という福井大学の女医さんの発言が「ちょっと待てよ」ということになって、

うつ病とは何かということになって、私は脳の「やる気中枢」の異常だと考えた。海馬がやられたり、前頭葉がやられたりというのは二次的な結果にすぎないと考えた。

したがって、病気の首座は視床+視床下部にあり、病態生理学的には神経伝達物質の枯渇、あるいはシナプスでの情報の受け渡しが失調に陥ることが本態であると考えた。

うつ病の本態は未だに明らかとはいえない。しかし治療薬はあって、三環系抗うつ剤、セロトニン再取り込み阻害薬(ただしこのお話は“見てきたようなウソ”の可能性あり)が奏功する。逆にレセルピンやβ遮断薬が明らかにうつ病を誘発し増悪因子となる。

だからモノアミン類をシラミ潰しにしていけば見えてくるのかな、うつ病はシナプス病なのかなと思っていた。

しかし神経伝達物質やシナプスでのやり取りを具体的に調べていくと、どうもそんなに話はかんたんではない。

まず刺激を送る側の事情は、シナプス連絡に限って言えば、どうでも良いことがわかった。

神経線維を伝わってきた電気刺激(活動電位)は、末端に達してそこに蓄えられた神経伝達物質を放出させるのであるが、向こうがどう受けるかには関係なくひたすらドバっと放出するのである。

ドバっと出した伝達物質が何にどのくらい使われるのかは、知ったことではない。彼らにとって重要なのは放出した物質をいかに効率よく回収してリサイクルして、次の放出に備えるかである。

シモネタになるが、男はペニスを突っ込んで射精すればそれで終わりだ。どの精子が卵と接合するかは知ったことではない。女性の営みはそこから始まるのである。

もう一つは神経伝達物質と呼ばれるもののいい加減さである。率直に言えば厳密な意味での神経伝達物質と呼ばれるものはない。生体内ホルモンやアミノ酸が代用されるのである。

窒素酸化物さえ伝達物質になるというのだから、もうなんでも良いのである。結局、受け手の神経細胞の膜レセプター(ホルモン受容体 a/o 化学受容体)が反応するかどうかが問題なのだ。


つらつらと考えてみれば、神経伝達物質を介した情報の受け渡しというのは、シナプスという密接な関係を除けば、生体内の標的臓器のレセプターがホルモン受容体を通じて体液を介した情報を受け取るのと全く変わりない行為である。それが電話か手紙かというだけの話だ。原理的には意外と原始的な代物である。


結局シナプスを介して送り手のニューロンと受け手のニューロンの関係はこういうことになる。

選ぶ主体はあくまで受け手の側にある。しかし送り手は手練手管を使って自分以外の情報が送れないようにしている。とすれば受け手の選択は送り手を受け入れるか、それとも拒否するかの選択しかない。

そこで「イヤよイヤよ」という受け手の神経細胞(細胞膜)にステロイドを突っ込んで抵抗力を奪う、という犯罪的手法が登場する。そうなれば最後は自死する他ない。

現実にそういうメカニズムが存在するかどうかは分からないが、検討する必要はありそうである。