これはTPP、とりわけISDS(投資家対国家紛争解決条項)の解釈をめぐっては死活的な課題となる。
この点に関して共産党の山添参院議員が鋭い質問を行っている。
TPP ISDS訴訟・損害賠償の実例  山添拓
11月16日でやり取りが視聴できる。(ただし、このYou Tubeには下記のやり取りはない)
条約だから、国内の司法を越える部分があるのは当然ではあるが、利害が真っ向からガチンコしたときどうなるか。
これが大問題になっているのがエクアドルで起きた出来事。
エクアドルで石油採掘を行っていたシェブロン社が不採算を理由に撤退した。それまでアマゾンのジャングル地帯で原油を垂れ流し続けていた。いまも環境汚染は続いている。これに対しエクアドルの地方裁判所が損害賠償を命じる判決をくだした。
シェブロンはこれを不服として国際仲裁裁判所に提訴した。仲裁裁判所はシェブロンの訴えを認めエクアドルの地裁判決を無効とし、効力の停止を命じた。これが認められると、エクアドル政府はシェブロンの撒き散らした環境汚染の尻拭いをしなければならなくなる。それどころか、シェブロンは不当に訴えられたことに対する高額の賠償金をエクアドル政府に要求している。
なんとも理不尽な話だ。
山添議員は日本において同様の事態が起きた場合、政府としてどうするのかを問いただした。
石原TPP担当相の答弁は明確だ。
条約を遵守する立場から、仲裁判断に従う
ということだ。つまり日本の司法権は国際仲裁裁判所の判断に対して劣位に位置づけられるということだ。これが最高裁の判決であっても原則は変わらない。
金田法務大臣は、異なる見解を、控えめに述べた。
日本政府が仲裁判断に従わず、投資家が強制執行をもとめた場合、国内裁判所が「公序良俗違反」などを理由に仲裁判断を覆すこともありうる。
間に立った岸田外相は次のような見解を述べた。
国際仲裁裁判所の仲裁裁定の趣旨と、国内裁判所の判断の双方を踏まえた代替的な対応を図る。これにより、ISDS手続きを無意味にしないようにする。
一見、中立的な意見のようだが、最後の結論は「ISDS手続きを無意味にしない」ことであり、そのために「代替的な対応を図る」ということだ。つまり石原担当相と基本的な立場は変わらないことになる。

この見解がもたらすのは多国籍企業の乱訴だ。現に世界中で起きている。そのうちのいくつかは彼らの勝利に終わっている。
これに対して国内の司法判断は無視され、国家の独立の柱である司法の独立は否定されることになる。
きわめて重大な発言であり、しかも閣内不一致である。統一見解が必要だ。