本日もぶらりとドライブ。旧夕鉄線沿いに栗山まで足を伸ばした。みぞれが降ったりやんだりの、ひたすら寒い初頭の一日であった。道路が夕張川をわたるとすぐ、右手に小林酒造の酒蔵が見えてくる。市民に開放されてなかなかの観光名所になっているようだ。

とくにあてと行ってないし、そろそろ昼時だ。どうせ見るものもないだろうが、ちょっと食べるくらいのところはあるだろうと、寄ってみた。

この天気で、みな行くところはないと見えて、意外と混んでいる。

本店の建物が北海道の有形文化財になっているということだ。小樽の銀行に真似て作ったとされ、道理で馬鹿でかい金庫が鎮座ましましている。たしかに色内の日本郵船の作りと似ている。しかし規模は大分小さい。

並んでいるものは小林酒造の製品がほとんどで、あとはちょっとした日用品とかが並べられている。所詮は栗山町だ、こんなもんでしょうと、外へ出た。

出た脇に「小林家」と看板があって通路がある。見学自由のようだ。

入っていくと2階建て木造の堂々としたお屋敷が立っている。とは言え、和風の民家であり、人を威圧するような厳めしさは感じられない。

小林家 正面

ホームページより)

これが中にはいって驚いた。入ってすぐの2、3部屋しか見ることはできないのだが、なんと部屋数が30ある(公式には23)という。

私の子供の頃、お屋敷といわれる家を何軒か知っているが、指折り数えると10部屋ちょっとがせいぜいだったように思う。我が家でも数だけなら6DKだ(6部屋目は無駄だったと後悔している)

部屋数が多いのにも驚いたが、築120年というのに、手入れもしていたのだろうが、実にしっかりした作りだ。これだけの大工を良くも揃えたものだと思う。

家のぐるりを回ろうとしたが道路側に面した塀だけ見て10分もかかった。最後には迷子になってしまい、慌てて地図を便りに右往左往というみっともない仕儀になってしまった。

おそらく施主が造作道楽(と言うより造作狂)でひたすら間数を増やしていったのだろう。普通は洋館風の別邸を建てるとか、子どもたちには離れを設えるとかするものだろうと思う。宿泊客が多いのなら、いっそ母屋ごと明け渡して、自分たちはもう少しこじんまりと暮らしたいとは思わないのだろうか。

案内係の人(小林家のご家族らしい)の、最近の通信が泣かせる。

「春夏秋冬、外より寒い小林家」です。

スタッフは、2月のご案内のお客様を「チャレンジャー」と呼んでいます。

…家屋の見学には厚手の靴下が2枚必要です。ストッキングなんて裸足に氷水をかけた感じになります。ホント、どんなウチなんでしょ・・。

とにかく、公的な性格はまったくない(最初は多少あったようである)、まったくの私邸である。本店の方に仕事に必要な施設、設備は全て揃っている。常識はずれの無駄な贅沢としか思えない。とは言いつつも、貧乏人には「いかにも田舎の富豪がやることだ」と、せいぜい嫌味を言うくらいが関の山。

この間数への異様なこだわり、一見の価値はある。店などあまり見ずに、まっすぐお屋敷に行ってみたほうが良い。