すみません。私は柴田トヨさんという人をぜんぜん知りません。なので「詩人柴田トヨ」と呼び捨てにするのはちょっと抵抗があります。
90歳を過ぎて詩作を始めた。
第一詩集は160万部のベストセラーになった。
詩壇は柴田のことを無視し続けた。
柴田を詩人ともてはやすマスコミに苦言を呈する“現代詩人”がいた。
といわれると、「ほお、そうか」というしかありません。
ちょっとグーグル検索してみました。
ウィキによると
1911年(明治44年)生まれ 2013年の死亡とあり、3年前に101才で亡くなった人だと分かります。
いろいろ辛い人生を送った後、92歳から詩作を始め、産経新聞の投稿詩人となった。テレビやラジオでたびたび取り上げられ、詩集『くじけないで』が160万部を記録した。
ということで、けっこうな人気だったようです。産経系だったので私の目には触れなかったのかもしれません。
それで実際の作品はどんなものだったのか。著作権侵害を恐れずに拾ってみる。
以下は柴田トヨさんさんの詩の頁から転載
くじけないで
ねえ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ
私 辛いことが
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに
神様
昔
お国のために と
死にいそいだ
若者たちがいた
今
いじめを苦にして
自殺していく
子供たちがいる
神様
生きる勇気を
どうして
あたえてあげなかったの
戦争の仕掛け人
いじめる人たちを
貴方の力で
跪かせて
化粧
倅が小学生の時
お前の母ちゃん
綺麗だなって
友達に言われたと
うれしそうに
言ったことがあった
それから丹念に
九十七の今も
おつくりをしている
誰かに ほめられたくて
先生に
私を
おばあちゃん と
呼ばないで
「今日は何曜日?」
「9+9は幾つ?」
そんな バカな質問も
しないでほしい
「柴田さん
西条八十の詩は
好きですか?
小泉内閣を
どう思います?」
こんな質問なら
うれしいわ
と、まぁ、技法的には小学生の作文である。
ただテクニックというのはその気になれば急速に向上するものであるから、本当は最初の詩から順に並べながら、その流れを評価しなければならないだろうが、そこまでの気持ちは起きない。
正直言えば陳腐である。「100歳でよくおできになりましたね」と言う言葉が咽喉まで出掛かる。
以前に柳原白蓮の歌を観賞したときの凛とした感動はそこにはない。むかし山形の小学生の綴り方を詠んだ時の泣けるような感動もない。
「ある現代詩人」の感想は、それはそれとしてうなづけるのである。ノーベル賞のアカデミーが「それをいっちゃあおしまいだよ」なのと同じように、「現代詩人たるもの、それは禁句だぞ」といわれると、「現代詩人ってそんなご大層なものかい」と絡みたくなる気がしないでもない。
どうも木島章さんの腹の底が見えず、なんとなし、いやな感じである。
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