なんとはなしに、音楽再生ソフトは気になる。

1.foobar 2000 が定番になる

PCで音楽を再生し始めた最初の頃、音源はもっぱらウェブ・ラジオのものだった。それを拾うために重宝したのが Winamp のストリーミング機能だった。これの素晴らしいのが、曲ごとに別ファイルで曲情報も込みで溜め込んでくれることだった。

ラジオ・タンゴという局があって、ここから24時間ひたすらダウンロードして、4千曲も溜まった。そのほとんどは未だに聞けないままになっている。

Winamp で集めた曲だからWinamp で聞いていれば良いのだが、どうせ聞くのなら音楽再生ソフトでもっと良い音で聞きたくなる。そこで探してみると、foobar 2000 というソフトが良いらしいということになった。

たしかに foobar 2000 というのはとても良くできたソフトで、なんでもしてくれるし、音もそこそこに良い。正妻としてこれほどのソフトはない。

だから何回浮気しても、結局また戻ってくるのである。しかししばらくするとまた浮気の虫がうごめいてくる。困ったものだ。

おそらくこういう変遷は、ほとんどの音楽フアンが経験していることであろう。

2.You Tube が主要音源に

ウェブ・ラジオのストリーミング録音はさまざまな音楽へのアクセスという点で飛躍的な変化をもたらした。

ただ視聴の仕方としては受け身なものだ。どの曲をいつ流すかは放送局次第だ。それをそのまま受け止めて、それから自分なりにジャンル分けして、取捨選択するということになる。

ところがYou Tube がさまざまな曲にタイトルを付けてファイルにしてくれるようになってからは俄然景色が変わってきた。

最初は曲数も限られていたし、音質もかなり粗悪だった。それが2009年ころから変わってきた。最初は処女のごとく最後は脱兎のごとくで、いきなり音源が噴出し始めた。なかにはCD音質に近いものが現れた。

その多くはアップされて間もなく消えていった。だからとにかく必死になってダウンロードした。今ではそれが1テラにのぼるファイルとなってハードディスクに収まっている。人生3回くらいやらないと追いつかない量だ。

You Tubeのファイルはそのまま落とすとMP4という形式になる。そこから音声情報だけを取り出すとAACという形式のファイルになる。当時の音楽再生ソフトのほとんどは「MP3プレーヤー」だったから、AACの再生が可能なfoobar2000 はそれだけで絶対優位だった。

3.DACとの相性

多分2005年ころのことだろうと思うが、DACが流行り始めた。パソコン内でもDA変換はできるし音も出る。それをライン出力してオーディオに接続していた。

それを、デジタル出力にして外付けのDACで処理させる。それからオーディオに繋ぐということで音はずいぶんと良くなった。

といっても最初に買ったONKYOのSEなんとかというDACは外付けというだけが取り柄で、音響的にはなんの改善も感じられなかった。

当時はASIOの出初めで、このDACはASIOを受け付けなかった。仕方がないので疑似ASIOみたいなソフトで出力していたが、この疑似ASIO用に特化したリリスという再生ソフトはMP3形式しか対応していなかった。

そのうち、foobar に擬似ASIO用のアドオンができて、AACファイルも疑似ASIOからDACへというルートができるようになった。ただしfoobar はASIOが嫌いらしく、「一応出しては見ますけどね」という冷たい態度。

4.ASIOの“思想”とWASAPI

たしかにASIOを通すと音に艶が出てくる。とくにリリスで利くとその特徴は一段と鮮やかだ。ただ聞き続けていると、その独特の“ASIO色”が気になりだす。明らかに何かいじっているのだということが分かる。

そのうちに次々と“音の良い”再生ソフトが登場するようになった。フリーブ・オーディオとか、熱烈な信者のいる某ソフトなどである。その秘訣はオーバー・サンプリングという仕掛けにあるらしい。わがfoobar もさまざまなリサンプラーのアドオンが出始めた。

音になる前のデジタル信号にさまざまなアルゴリズムでお化粧を施すようだ。これをASIOで仕上げするというのが流行の行き方になった。結局すべての発端はASIOにあるようだ。

WASAPI が出てくると、世はASIO派とWASAPI派に分裂した。foobar の開発者はWASAPIを強力に推薦した。WASAPIは固く、芯がある。低音が濁らず厚くなる。しかし音色は端的に言えばモニター・サウンドである。

音楽フアンの多くは依然としてASIO派であったようだ。しかしへそ曲がりのクラシック好きにはfoobar の開設者のほうが正しいように思えた。

お互いにヴァージョンアップしていくし、foobar そのものも進化していくわけで、数年のうちに見違えるように音質は改善した。率直に言えばCDプレーヤーよりも良くなった。

5.高品質DACの進歩と再生ソフトの見直し

2.3年前から高級DACが登場し始めた。手持ちのONKYO SEなんとかは1万数千円、チャラいものでスリットから向こうが透けて見える。振れば音がするような感じだ。

そこに登場した高級DACは、何が入っているのやらズシリと重い。気のせいか、音もずしりと重い。重くなった分が何かというと結局ここでもお化粧を施すのだ。ただその中身はブラックボックスだ。

そしてそこを出たアナログの音はプリメイン・アンプで最終のお化粧をしてスピーカーに送られることになる。

これはやりすぎだ。かぶっている。何らかの役割分担が必要だ。音楽再生ソフトの役割を見直すべきだ。

6.お化粧の3つのステージ

お化粧など興味がないし、ましてやったこともないのだが、少し勉強してみた。

「メイク」というのはファンデーションと、狭義のメイクからなるようだが、私はその前に皮膚のクレンジングと欠陥補正など、スキンケアが重要だと思う。それは半分は皮膚科学の領域に入っている。

文字情報の形で蓄えられたファイルをカレントと言うかフローの形態に変換するのが再生ソフトだから、もっとも重要な部分を担っていることになる。

そこにはほとんど芸術的なセンスは必要ない。ひたすら正確であることが求められる。一回フローに換わってしまえば後はすべて一瞬の遅滞も許されない流れ作業になっていくわけで、ここだけ読み取り時間が許される。

7.PlayPcnWin

開発者である yamamoto2002 さんはまさにそういう発想で再生ソフトを開発したようである。

私の手持ちのDACと同じFostex を使用していて、「この時代に見合った再生ソフトはいかなるものか」という疑問が開発のきっかけらしい。

FSTEX のHPA8 のドライバーはデフォールトでASIO経由の信号を受け取ることになっている。機械屋さんが言うのだからそれが一番良いのだろうとおもって、その仕様でそのままやってきた。yamamoto2002 さんは、それは違うと言っている。

やっていることは、原理的にはかんたんだ。WASAPIでDACとつなぐということ、メモリにファイルをいったんコピーしてそこから読み取るようにしたこと、この2つである。

そして私に嬉しいのはものすごい操作がかんたんなことである。実に高齢者にマッチしている。最新の技術で「ガラ携」を作ってくれたようなものだ。

音には満足だ。foobar より良い。ただこれは以前にも実感済みだ。前の忌々しいDACに悪戦苦闘していた時、メモリー上に仮想RAMを作ってそこにファイルを入れたらすごい音がしたのである。HDから情報を拾うのとメモリから直接吸うのでは時間差があって、それが音質の向上につながるのだと実感した。

と言いつつ、手続きがあまりにも煩雑で、頻繁にハングアップを繰り返すので、やめてしまった経験がある。このソフトの高音質にもそれが効いているのではないかと思う。

もう一つは非可逆圧縮のファイル再生をやめたことだ。私は以前から思っているのだが、ビット数を可変にして圧縮する技術は容量を小さくするのには役立つが、読み取りには決して良い影響を与えないのではないだろうか。

その読み取り処理にはおそらくいくばくかの時間が取られる。それらを一切省略することでジッター補正時間はかなり稼げるのではないだろうか。

どうせ時代はWAV=FLACになっている。記憶装置が二桁から三桁くらい大容量化・小型化しているから、もうこれ一本で良いのかもしれない。

馬鹿馬鹿しいが、MP3やAACファイルもFLACに逆変換して保存したほうが良いかもしれない。(多少オーダシティで化粧して)


それにしても、ついにfoobar の時代が終わるのだろうか?