あの新潟県知事戦からわずか1週間、野党共闘は燃えに燃えて補選も勝ち抜くかと思われたが、そうは問屋が卸さなかった。
しかしよく考えれば東京は連合の最大・最後の拠点だ。民進党都連は悪の巣窟だ。
彼らは負けることに全力を傾けた。負けることによってこそ、彼らの身の安泰が図れるからだ。もし勝ちでもすれば共闘派が一気に力をつけ、民進党を乗っ取ってしまうからもしれないからだ。
過去数回の都知事選挙で東京の民進党の立場はきわめて明らかだ。野党共闘の立場に立ったことなど一度もない。それどころか自民党との連合で民主勢力に対抗する道しか選んだことはない。
これは自民党も同じで、東京都の持つ豊かな財政基盤にしゃぶりつくことしか考えていない。つまりは「都庁たかり」党として、都庁マシーンの歯車のひとつなのだ。
民進党は「連合党」=経団連マシーンでもある。連合がどんな役割を果たしているかは、新潟県知事選で白日のもとに晒されたが、実はその前の参議院選挙でも徹底して野党連合潰しに回っていたのである。それは関西より西では成功した。
民進党の基盤が弱い地域では、なかば公然と野党共闘は否定された。たとえ民進党が一定の基盤を持っているところでも、都道府県の利権がらみのしがらみに絡め取られているところでは同様の現象が起きた。
以前革新勢力が強いと言われていた大都市圏で、意外に野党共闘が伸びないのはこれによるものであろう。
総じて言えば、民進党が野党共闘の側に一方踏み出せないでいるのは、経団連=連合の縛りと各自治体での利権の縛りがあるからだろうといえる。
ここにヒビを入れ、裂け目を広げ民進党の本体をこちらに持ってくるのは容易な仕事ではない。しかし参議院選挙や新潟県知事選挙でも示されたように、決して不可能な仕事ではないのである。
目下野田幹事長を先頭に仕立て、猛烈な反共闘勢力の巻き返しが始まっている。しばらくは強烈な綱引きが続くのであろう。
ただ、権力がいつまでも民進党を自らの下に引き止めておく訳にはいかない。彼らは一度は二大政党制を構築しようとして断念したのである。それが不可能であること、可能であるにしてもきわめて危険なことを悟ったからである。
彼らは民進党を捨てた。民進党は捨てられたことを知っている。真面目な中核党員は、経団連の後ろについて言っても、その先に未来はないことを悟ったはずだ。
我々はもう少し耐えなければならない。野党共闘の側に民進党を持ってこようとする人々を支援しなければならない。同時にその思いを市民集団と共有しなければならない。