ケアマネ・タイムス」というサイトに

介護業界「勝ち組」の法則と課題

というレポートが掲載されている。2012年の記事なので少々古いが、紹介する。

1.大手企業の特殊性

介護事業における厳しい経営状況や従事者の低待遇が問題になっている。

しかし有名大手企業の売上高は軒並み「右肩上がり」となっている。

営業利益率については2006年度に一時的な停滞があったが、10年度には総じてプラスに転化した。

2.利益を上げる2つのポイント

第一に、利用者を囲い込み、介護保険外サービスを提供することで利益を上げる。介護保険サービスはあくまで顧客確保をにらんだ「販売促進」的な位置づけとなる。

第二に、パートタイマーもふくめ臨時雇用者等の比率が高いことだ。

3.大手企業が業界を制圧したらどうなるか

第一に、介護保険サービスのみに頼らざるを得ない低所得者層の利用者は行き場を失う。

第二に、低所得者層も視野に入れつつ、地域のセーフティネットを担おうという事業所は淘汰される。

第三に、「介護を一生の仕事としたい」という労働ニーズは拒絶され、介護という労働分野全体がブラック化する。

4.著者(福祉ジャーナリスト 田中 元さん)のまとめ

介護報酬の大幅な伸びが期待できないまま、上記のような事業所が淘汰され、介護士が駆逐されていった場合、それは「国民の安心」を担う介護事業のあり方として正しい姿なのでしょうか。

ところで、第一のポイントというのが気になる。

介護保険サービスはあくまで顧客確保をにらんだ「販売促進」的な位置づけとし、介護保険外サービスを提供することで利益を上げる。

というのはまったく問題ないのだが、引っかかるのは最初の「利用者を囲い込み」という表現だ。

老人は「お世話をしてもらう」のだから、なかなか対等の立場には立てない。それに、そもそも元気なときは自分でやっていたこと、やらなければならないことをやってもらうという負い目がある。

自分で金を払って雇ったお手伝いさんとか家政婦さんなら、こちらは使用者で主人なのだから、それでも遠慮しながらだが、言うべきことはいう。

自分のお金ではなく(一部負担はあるが)、お上の厄介になって世話してもらっているのだから強いことも言えず、大抵のことは我慢する。

こういう状況のもとで「囲い込まれる」というのはかなり危険なことではある。知らない間に色々オプションを付けられて、いらないものまで買わされてみたいなことがないか心配だ。


2013年07月17日もご参照ください。まったく事情は同じです。