我々は非核戦略を練り直さなければならないかもしれない

今回の日中両党の衝突の最大の問題は、反核運動をめぐる対立の表面化である。

かつての日中両党の対立も、暴力革命の是非とか文化大革命の評価の問題もあったにせよ、もっとも重大な問題はベトナム人民戦争支援のための国際統一戦線をめぐる対立であった。

今回も同じように、国際反核運動の進め方をめぐる対立が基本となっている。我々はまずそこをしっかりと抑えておく必要がある。


中国の核軍事戦略の変化は南シナ海や尖閣紛争に覆い隠されてきたが、いよいよその本態が明らかにされた。

これまで中国は、真意はともあれ反核運動に対立することはなかった。核の先制不使用を宣言し、核廃絶を目指す運動を支持してきた。

東南アジアの非核地帯宣言を支持し、東南アジアで核を用いないことを明らかにしてきた。

今回の中国の態度は、これまでの核をめぐる姿勢に根本的変化が現れていることを象徴している。

これまでもそのような兆しはいくつか見られていた。原水禁世界大会への不参加、広島・長崎の被爆者への冒涜的態度など気がかりな点はあった。

しかしことは「侵略者日本」への反感を口実にした日本の反核運動への敵視だけではなくなった。

今回の出来事は、東アジア諸国の反核への願いを公然と無視する態度に転換したと言わざるをえない。

もはや中国は核廃絶への志向を完全に失った。そして核を通常戦略の中に組み込み、アジア最大の核軍事大国となる道を歩み始めた。

中国が本気で核を使用するとすれば、あるいは核脅迫政策を実行するとすれば、米中同盟のもと、それは明らかにアジア諸国に向けられたものとなる。

プーチンがウクライナで核の使用を考えたのと同じように、中国が南沙諸島に核を持込み、いつでも使用可能な状態に持っていくことがないとはいえない。

あるいは台湾の独立派勢力を懲らしめるために、大陸側に核ミサイルの砲列を並べることがないとはいえない。

それは世界の人民にとってもっとも差し迫った危機となるであろう。

私は2004年9月に北京で開かれた反核医師の会の総会にも参加した。その時、まさかこのような世界が展開されることになろうとは到底予想できなかった。