「韓国歴史地図」という本がある。
平凡社の出版で、初版が2006年、第3刷が2008年とあるから、多分7,8年前に買ったものだろう。なんと低下3800円。
当時は朝鮮現代史年表の作成に夢中だったから、それに入れるために読んだ記憶はある。
最近になって古代史にハマったからそれとの関連でも使った。
それで本日は、午睡にはいろうかというときに寝返りを打ったら目の前に飛び込んできた。
なんとなく眺めながら眠くなるのを待ったが、それどころではなくなった。
やっぱり変なのである。
この本はそもそも韓国の教科書で、韓国教員大学歴史教育科の教授連の共同執筆になるものである。きわめて権威性の高いものなのだ。
それにしてはあまりに恣意的だ。加羅の代わりに「伽耶」だ。任那の文字は一度も出て来ない。とにかく時系列を無視してチョモン(征服者・圧制者の一人)が飛び出してきて、その次にはなんの脈絡もなく百済建国や新羅の統一がフィーチャーされて、伽耶はひたすらその引き立て役に回っている。
それはそれで良いのだ。歴史を国威・民族意識発揚の道具に使おうとそれは勝手なのだが、都合の悪い事実を無視して議論を構築する限り、それは歴史の捏造なのだ。
それがあからさまであればあるほど、私としては韓国の研究を信用しなくなる。それだけのことだ。
周辺的事実の確認のためには、韓国の歴史研究の成果をおおいに取り込もうと思うが、肝心な事については韓国歴史学者の議論を信用してはならない。残念ながらそれがいまの韓国歴史学に対する評価である。
北朝鮮についてはほとんど信用出来ない。歴史学というのは厳しいところがあって、ひとつでも意識的に嘘をつけば、その人は全否定されてしまう。態度の使い分けがしにくい分野なのである。