というわけで、ニューズウィークに載った池田信夫さんのコラム「21世紀にマルクスはよみがえるか」を眺める。池田さんという人は独立派のエコノミストらしい。

クルーグマンが「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と絶賛したそうだ。統一場理論とは、いかにもクルーグマン好みの表現だ。

ピゲティは戦後の数十年こそ特殊な時期で、基本的には格差は一貫して拡大してきたと主張しているらしい。

それはそれで良いのだが、それを前提に、ピケティは「なぜ資本主義で格差が拡大するのか」を説明しようとしているようだ。

池田さんによると、

gを成長率、rを資本/所得比率とすると、r>gとなると資本収益のシェアが高まる。それを投資することで資本蓄積が増えて資本分配率が上がり、さらに不平等化が進む。

のだそうで、これが資本主義の根本的矛盾なのだそうだ。

それで、なぜこの「投資比率」論が根本原理なのかというと、「労働生産性の差が所得格差になる」というこれまでの議論は、単純労働にしか当てはまらないからだそうだ。

いうなれば、「相対的剰余価値論」の否定だ。池田さんの話を前提にすると、これは「21世紀論による資本論の否定」であり、マルクスをよみがえらせるどころか、葬る作業でしかない。

富裕層が多額の報酬を得るのは、彼が自分の所得を自分で決めることができるからで、その子の所得が高いのは親の財産を相続できるからだ

と池田氏は紹介しているが、こんなヨタ話をクルーグマンが“絶賛”するとは思えない。

もっともアベノミクスを“絶賛”したあたりから、クルーグマンもクルい始めているのかもしれないが…

まぁ、もうちょっと待ちましょう。