「下げりゃいいじゃん」という糖尿病治療

もう十年も前になるか、循環器学会で「糖尿病と冠疾患」みたいなシンポがあった。そのとき、糖尿病の専門の先生がこう言ってくれた。

「下げりゃいいんですよ」

これを聞いて、溜飲が下がった。

自分の病院では糖尿病の先生が何十種類ものクスリやインシュリン製剤を使って治療していて、素人には手が出せない雰囲気だった。

もちろん血糖は90~110くらいHbA1cは6以下にしなければならない。そのために患者はがんじがらめに縛られて、ひっきりなしに勉強させられていた。

困るのはナースがやたらとダメ出しをすることである。「先生、それはダメですよ」とか、「そんな指示じゃ受けられません」とくる。

研修医の時代ならともかく、こちらも専門領域の仕事で忙しいから、DM患者が受け持ちになるとそれだけで気が重くなったものだ。

いまも相変わらず糖尿病の世界はそういうたぐいの連中が幅を利かせているようだが、私は老人保健施設に移ってからはこれで決めている。

1.経口薬はアマリール一筋

2.ばらつくようなら、他剤追加も検討(とは言うものの、現実には使えるものは使っちゃうのだが)

3.アマリール6ミリでもコントロールできなければインスリン(ランタス)追加

ということでいる。

昔はインスリンと経口薬を併用すると叱られたものだが、最近はBOTとか言ってむしろ勧められているようだ。

のだが、最近1日40単位もインスリンを使わなければならない人がいて困っている。急に悪くなったのなら送ってしまえばいいのだが、1日20単位のレベルで病院から送られてきた人だから、もう少し頑張るしかない。

聞くところによると、最近「ビクトーザ」の注射という手があるらしい。これが4.になるのか?

理屈はよう分からん。ただ臨床データは良さそうだから、「溺れるものの藁」位のつもりで検討してみようかと思っている。


ちなみに糖尿病の経口薬一覧表

スルホニル尿素薬 第1世代

ジメリン錠 デアメリンS錠

 スルホニル尿素薬 第2世代

オイグルコン(ダオニール) グリミクロン

 スルホニル尿素薬 第3世代

アマリール

速効型インスリン分泌促進薬

スターシス グルファスト

α-グルコシダーゼ阻害薬

グルコバイ ベイスン セイブル

ビグアナイド薬

メトグルコ ジベトス

チアゾリジン薬

アクトス

SGLT2阻害薬

いろいろ

DPP-4阻害薬

グラクティブ ジャヌビアなどいろいろ

GLP-1受容体作動薬

ビクトーザ(注射用のDPP-4)

DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬が流行りのようで、薬屋さんが入れ替わり来ては効能を語っていくが、馬の耳に念仏

「ガイドライン」は山ほどあるが、結局何かの宣伝だ。しかもこういうエライさんはこういうところで言うことと、現場でやっていることが結構違う。もっとゴリゴリだ。平気でカンカンノウを踊らせる。俺は知ってるぞ。