赤旗の科学面に「シナプス刈り込み」に関わる記事が2つも掲載された。
「シナプス刈り込み」などというのはまるっきりお初。どんなものかとグーグル検索してみたら、あるわあるわ5千件以上もヒットする。
これだけ記事があると、例によって時系列で整理しなければならない。ほんとうは昨日聞いたNHK第二の日曜講演会「認知症のメカニズムと創薬」を調べるつもりだったが、とりあえず後回しにする。
まずはウィキペディアから入るのが通例なのだが、ウィキには該当記事がない。ある意味、ちょっと安心。
シナプス刈り込み - 脳科学辞典
から入ることにする。原稿完成日:2016年6月4日だからまず最新情報と言っていいだろう。著者は東大の上阪さんと狩野さんという方。
まずは要約
シナプス刈り込み(synapse elimination)とは、必要なシナプス結合だけが強められ、不要なシナプス結合は除去される現象である。発達期の動物の脳内では、ある段階になると神経結合(シナプス)が形成される。
このシナプス形成は、生後間もない時期には過剰に行われる。
その後、必要な結合だけが強められ、不要な結合は除去されて、成熟した機能的な神経回路が完成する。
このシナプス刈り込みは、発達期の神経回路に見られる普遍的な現象である。
大変要領よくまとめられた要約で、「よし分かった」と本文を読むのを飛ばしたくなるほどのまとめである。
逆に、目次を眺めても「ごちそうさま」と言いたくなるほどのフルコースだ。
これを10分で読めるようにまとめてみる。
1.シナプス刈り込みとは何か
最初に、小脳のプルキンエ細胞の刈り込みの絵が載っている。
この絵を見ると、刈りこみと言っても、芝刈り機みたいに刈るのではなく、いくつかのまとまりに束ねるのだということがわかる。
一番左、生まれたばかりでは、5本以上の線維がプルキンエ細胞に接合している。それが2番めの絵では接合線維が7本に増えている。一方で左の3つは一本の繊維にまとまっている。3番めの絵ではまとまった側の接合は5ヶ所に増える一方で、単独で接合する線維は脱落している。
こうして最後には団結した側の一方的勝利に終わる。敗者は取り残され、やがて脱落する。
勝利した線維連合軍は、球状の細胞体からとんがり帽子の樹状突起に移動し神経接合を実現する。
この後、さまざまな神経におけるシナプス刈り込みが説明されているが、煩雑なため省略。
以上で、目次の 1 様々な神経系でのシナプス刈り込み は終わり。
2.何が刈りこみを規定しているのか
いろいろ書いてあるが、決定的な説明はない。GABAとかCaなど挙げられているが、いま一生懸命憶えるのは記憶力の無駄遣いになる。
ということで、いまはプルキンエの絵だけ憶えておけば良さそうだ。
本当の問題はなぜかということだが、今のところ研究はそこまでは進んでいない。
1.なぜ神経線維が過剰生産されるのか
2.なぜみんな生き残るように出来ないのか
3.まとまれる線維と仲間はずれ線維はどこが違うのか
4.淘汰が必然として、その選択は正しく行われているのか
あたりが、初歩的な疑問として残る。
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