Y染色体によるアダムからの展開を文章にしてみた。「系統樹」を見ていると目が疲れていけないので、平文に翻訳したというだけの話。

おそらくこれらの事項に「何万年前」という記載を加えることが可能と思うが、まだそのあたりの文献を探し当てていない。年表にしないと気がすまないというのが悪い癖で…

Y tree
             真史 人類史探求 より転載

ユーラシア・アダムとDグループ

20万年前頃? 大地溝帯で現生人類が誕生。ミトコンドリア・イブは16万年前、Y染色体アダムは6万年前とされるが、その間くらいの誕生であろう。男のほうが消耗が激しいのかもしれない。

約6万5千年前 アフリカ大陸の北東部(現在のスーダンからエチオピア高原の辺り)において、ハプログループDEが分岐したといわれる。

その後A、Bはアフリカに残留し、CFとDEはアフリカ大陸を脱出。紅海を渡り、アラビア半島の南海岸沿いにイラン付近に至った。

CFとDEをあわせCTと呼び、その共通祖先をユーラシアン・アダムと呼ぶことがある。またペルシャ湾岸沿いの一帯をY染色体のエデンということもあるが、少々乗り過ぎか。

CFはエデンに残り、Dは北東に向かい、Eはアフリカに戻ったとされる。

Dグループのアジア進出

6万年前、Dは中央アジアに達しアルタイ-チベット近くに分布した。ここでグループは残留組と東進組の2つに別れ、チベットに残留したグループはD1aとなった。

5万年前、D1bが第一次東アジア進出組として分岐し、さらに東方へと向かった。

4万5千年前 中東にとどまったユーラシアン・アダムからCが分岐し東に向かい、残留組はFとなる。

謎の多いCグループ
Cはなぞの多いグループである。その分類はずいぶん変遷していて戸惑うが、最近のものを書いておく。
CはC1とC2に分かれC1が北方ルートのC1aと南方ルートのC1bに別れる。C2というのはどうもよく分からないがその一部が東シベリアを経て北アメリカに至った。(フロリダからC2と目される7000年前の遺体が見つかっている)
C1aは第二次の東アジア進出組となった。モンゴル、朝鮮半島から日本にかけて少数派として痕跡を残している。C1bはオーストラリア先住民やオセアニア先住民となる。
要するにCグループは、一時はアジア各地に拡散したが、Dを駆逐するほどの勢いはなく、後発のOに押されて辺縁化してしまったような印象なのだ。日本人の源流論を展開するときも、どうもこの二次グループが軽視されているように思える。
一次進出のD、二次進出のCをあわせて古モンゴロイドと呼ぶ。
エデンの危機と分裂

エデンに残留したFのうち、2つのグループが分岐する。Gはコーカサスに進出。ついでHがインドに進出する(現生ドラヴィダ人の主流)。

これらを分岐した残りの中東人はIJKグループと呼ばれ、さらにIとJを分岐する。

Iは第一次ヨーロッパ進出組で、バルカン半島からヨーロッパに進出。このIグループには有名なクロマニョン人もふくまれる。Jは中東に残りアラビア半島を中心に分布。

残されたKは二つに分裂する。

K1はインド・パキスタンのLグループとなる。この他、Tという順番違いのグループもできるが文字通り四散している。

現代アジア人と現代ヨーロッパ人の分岐

K2はさらに3つのグループに分かれる。NOはアジアへ、Pは西へ、MSはパプアニューギニアへと進む。つまり中東はJグループを除いて空になるのである。

NOグループのうちNは北西部に向かっている。フィン人、エストニア人、ヤクート人がNグループの末裔に当たるようだ。

2万5千年前ころ、第三次アジア進出組たるOグループは、O1とO2に分かれるが、見た目は殆ど変わらず東アジア全体に分布する。強いて言えばO1のほうがやや北東寄りの傾向がある。

PグループはQグループを分岐した後インド・ヨーロッパ語族となっていく。このうちR1aが東ヨーロッパ、北インド、中央アジアに、R1bが西ヨーロッパに分布する。

アメリカ先住民の大移動

Pハプログループのうち北東に進んだのがQグループである。Qの出エデンの時期は、3万年前と2万年前の2つの説がある。アフガニスタンにもかなりのQが存在するという。

彼らはおそらくはOグループと競合しなら北進し、北シベリアのステップでマンモスなど大型哺乳類を狩りながら急速に移動。1万5千年前にベーリング海峡に達し、そこから第二次のアメリカ進出を果たすことになる。


作っていていくつかの疑問が湧いてくる。

1.K1→K2は何故四散したのか。たんなる分家ではないようだ。分布図を見ても中東ではR→Jの変化が明らかである。この時何が起きたのだろうか?どうもこの頃の中東に生きにくい事情があったのか。

2.OとP→Rのこれだけの見た目の違い、白色人種と黄色人種の種差はどうして生まれたのか。これだけ違うのなら縄文系と弥生系の違いのほうが遥かにすごいと思うが…

3.同じく印象論だが、アメリカ先住民がP系というのがわからない。アメリカ先住民が分子生物学的にはアジア人よりヨーロッパ人に近いというのは、印象としては納得できない。どう見てもアジア系だと思うが。


Y染色体は旅するDNA、ミトコンドリアDNAは定住するDNAだ。まずはY染色体で議論を組み立て、「うーむ」というところはミトコンドリアDNAでウラを取っていくという手法で、尺取り虫型の議論を展開するよう心がけるべきだ。