Y 染色体による解析はきわめてクリアカットであり、強い説得力を持つ。
これから明らかになったことは以下の三点である。
1.現世人類は10万年前ころに出アフリカを果たし中近東に拠点を形成した。その一部はそのままアジアに進出し東アジア全体を覆い、数万年にわたってアジアの覇者となった。これが古モンゴロイド人である。(南方路線は省略)
2.4万年前に、中近東を生誕の地とするO系、C系、N系、R系統が相次いで発生した。R系は西へ、N系は北へ、O系・C系は東へと進んだ。
3.古モンゴロイドであるD系、E系はアジア主部から駆逐され、チベットと日本に逃げ込んだ。彼らはマンモスを追って日本に渡ったのではなく、新人類に逐われて日本に渡ったのである。
Y染色体は残酷である。共存を許さない。朝鮮半島や中国人(漢民族)にD系が全く見られないということは、追放されるか皆殺しにされたということである。
日本のようにY染色体が混在するというのは人類史的に稀有の体験ではないか。
これに比べるとミトコンドリアDNA解析の方はだいぶ不利である。
1.ミトコンドリアDNAは動かないものの象徴である。差異性の判断にはもっとも不向きなツールだ。
ミトコンドリアDNAは支配者がどう変わろうとそこでしぶとく生き残っていく力の象徴だ。
2.したがってミトコンドリアDNAの変化で世の中の動きを跡づけることはできない。それは変化せず重なっていくのである。
3.そのかさぶたの重なりを層ごとに解析できれば、有力な方法となるかもしれない。
ただし、動かないということは、弥生人を迎え入れた時にどうやって縄文の血が残ったのかを説明する上では役に立つ。「どう動いたのか」ではなく、「どう動かなかったのか」を考える上では決定的なポイントとなるかもしれない。
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