年表づくりという形でバングラデシュの状況を整理してみて、あらためて佐藤宏さんの見解に深く頷くものがある。
とにかく、たった40年前に数百万の人々が殺されたのである。この事実をまずもって私達は深く認識しなければならないだろう。
関係者がまだ生きているから、100万人を殺した血まみれのおぞましい虐殺者たちにも生きていく権利は認めざるを得ないのだから、とりあえず、そのことには蓋をして、バングラデシュは経済的自立への道を歩んでいるのである。
しかし往々にして虐殺者への憎しみは火を噴く。なぜなら、虐殺者たちはいまだ虐殺を反省せず、平然と公職につき、イスラムの名において自らの行動を合理化し続けているのである。
だから、彼らは攻撃されればされるほど原理主義的にならざるをえない。「俺のどこが悪い。イスラムの原理に従って行動しただけだ。やれるものならやってみろ、こちらも容赦しないからな」と開き直ることだ。
だから、バングラデシュの原理主義はイスラム原理主義一般よりさらにカルト的で、後ろ暗いものがある。はっきり言えば、身を隠すために「原理主義者」を装った薄汚いイスラム同胞虐殺者の末裔の集団だ。
しかし彼らをここまでのさばらせた最大の原因は、前与党のBNPにあるのだろう。
現与党のアワミ連盟とBNPの支持率は拮抗している。バングラデシュは小選挙区制だから、1,2%の得票率の差で圧倒的勝利か惨敗かということになる。
そこで、一定の底堅い支持率を持つJI の票は魅力的だ。そこでBNPは悪魔と取引し、JIを認めてしまった。これで死に体だったJIは一気に息を吹き返し、そのコマンド組織であるJMBも力を得たのだ。
もともと、BNPも独立戦争を戦った集団であり、JI に対する反感は強いはずなのだが、それ以上に目の前の票には魅力があったのだ。
こういうのを「野合」というのだろう。
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