前に書いた記事 「前頭葉が数学上達を邪魔する」がアクセスが多いと知って、いささか困惑している。

あれは酔った勢いで書いた雑文で、しかも途中でスタミナ切れになって挫折している。酔っぱらいというのはそういうもので、いいアイデアは沸くが所詮あぶくみたいなものだ。

それを書き留めておいたおかげで、はたしてそれが正しいかどうかを検証しなければならない羽目になった。

数学的な脳と哲学的な脳の局在を勉強しないと、これは酔っぱらいのでまかせとして物笑いの種になってしまう。

「医者のくせに」と言われそうだが、この手の研究は私が医者になった頃よりはるかに新しいのである。そもそもCTが世に出たのが70年代後半で、臨床の場で一般的になったのはさらにそれより10年ほど経ってからだと思う。

つまり我々世代は必要に迫られ絵付け焼き刃の勉強でその場をしのいできたのである。

ここからはみなさんと同じ素人のレベルから勉強を始めていく。

算数が得意な子の脳は、どこが違うのか?

という一般向けの記事(プレジデントFamily 2013年3月号)から始める。それがグーグルで一番上にあったというだけの話である。

MRIによる脳画像分析のスペシャリストで「脳の学校」代表の加藤俊徳さんという人に、記者がインタビューして記事にしたものである。学問的な正確さは必ずしも要求されていない。

数学の問題を考える脳は2ヶ所ある

現在の研究では、算数や数学のいろいろな問題を解くときに、脳のどの箇所を使っている、と特定はされていません。

国語が得意なら、言語や感情をつかさどる部分、美術が得意なら視覚をつかさどる部分を主に使うが、算数や数学の場合はそうではない。

問題を説くということは回路を形成すること

神経細胞と連絡線維がつながり回路を形成すると、問題が解けたことになる。これを反復することで回路が確立され、応用も効くようになる。これが「会得」したということになる。

回路の形成と確立には報酬が必要

子供が「楽しい」と思うような環境づくりをすることがだいじだ。

算数で鍛えられるのは前頭葉

算数で一番育まれるのは、前頭葉で発達する自己認識能力だ。間違いを把握する作業は、自己認識能力につながるものなのだ。

問題を間違えた場合、自分がどこで誤ったかというプロセスを計算式の中で確認する。それを認められる子は、どんどん成長するが、答えが間違ったという事実だけを意識する子は、それ以上先へ進めない。


うーむ、そうか。

しかし最後の段落は科学者というより教育者だな。いかにも教育者的な独断がある。

要するに学習機能一般について語っているだけで、どうもあまり参考にはならない。

反復による回路の強化というのは体育会系の発想だが、数学的思考が頭頂葉機能に関係しているかもしれないというヒントは与えてくれる。

 

本はエンタメ

というブログで、『なぜ数学が「得意な人」と「苦手な人」がいるのか』という本を紹介しているブライアン・バターワースの書いたものらしい。

参考になるのは次の一節。

脳の中で数を司っているのは左前頭葉で、さらにその中が数値を認識する部分、一時記憶する部分、加算を行う部分、式を組み立てる部分・・・と細かに分業されている

(脳は)数を窓口として指の感覚、視覚、言語を司る部分と連携している。


ここでも前頭葉が出てくる。

おそらく数字を操作する機能は、言語を操作するのが前頭葉のブローカ中枢にあるように、中心溝に接する前頭葉~側頭葉あたりにあるのだろう。

聞く・見る・読む頭頂葉に対応した話す・書く・その他(描く・組み立てる・演技演奏する)などの一群に包摂されているものと思う。

私の言う「前頭葉」は論理化、価値判断、意思の形成などを行う連合機能で、それより前の部分である。

ところで数学的思考の中核となるデジタル(Digit)化はどこで行われるのか

 

 子供を天才に育てる最強の幼児教育の秘密

というサイトの「論理数学的知能と脳では 論理的思考や計算はどの部位を使うか?」というページ

論理数学的知能は左前頭葉と頭頂葉に 主要な領域を持っている。(言語の領域と似ている)

さらに詳しく見ていくと前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野などの大脳連合野、それに海馬、扁桃体、帯状回、小脳、脳幹 などが関わっている

と、まぁ全部だね。

最も重要な働きをしているのが前頭連合野です。前頭連合野は、問題解決のために見通しを付ける、あるいはこれから 先の計画を立てると言った働きをしています。

ということは、思考全般に言えることではないか。

次に失算・失読の話

失算は左脳の損状で生じやすく、とくに左頭頂葉の後方下部領域の損傷と関係がある。また、数の読み書きの障害は、左頭頂葉、特に角回の損傷と関係がある。

ここからが本格的な局在論。

計算をしているときに働いている脳領域は多領域に及ぶ。

それは飽きるほど聞いた。

脳機能画像研究から、以下の事実がわかっている。
①数を比較したり、足し算、引き算をする時は、下頭頂葉が賦活されていることが知られている。(つまり言語脳ではないということだ)

この領域は 特に空間認知に優れた領域である。これは数の比較や、足し算、引き算には、空間的性質の処理が含まれるためであろう。

②また、かけ算をしているときは左脳の下頭頂葉の賦活が見られる。

暗唱して覚えている「九九の能力」を元に 計算するため、言語中枢のある左脳の
活動が高まると考えられる。

「ガードナーの多重知能理論」によると論理数学的知能はこうした特徴を持つ。

おっと出てきた、

おっと出てきた、「いかにも」っぽい議論。眉にたっぷりと唾を付けて、今度はこれでググってみよう。