オバマ演説に対する論評がそろそろ出揃ってきた。
グーグルで検索して、ヒット順にレビューしておきたい。
1.ケート・ハドソンの主張
最初はケート・ハドソンというイギリス人。核軍縮キャンペーン(CND)事務局長と
いう肩書だ。(ハフィントン・ポスト 31日)
見出しは「それでも、謝罪は必要だ」という論争的なもの
まず、オバマ演説を積極的に評価するが、これは前振り。
第一に、原爆は、ただ空から落ちてきたのではなく、アメリカによって民間人の頭
上に落とされた。
第二に、原爆は戦争終結に不可欠ではなかった。
という二つの認識を押し出す。そして、この二つは謝罪の是非を超えた本質的な
事実だとする。ここから議論が組み立てられ始める。
彼女の議論展開は、第二点を中心とする。
そして、「アメリカは日本を舞台に、原爆で地政学上の駆け引きを演じた」との結
論を引き出す。
その故に、「アメリカは謝罪しなければならない」と主張する。
かなり飲み込みにくい議論だ。議論の拠り所に論争的な「事実けーと・はどそn」
がおかれているためである。一番気になるのは、戦争終結に不可欠であったらそ
れは許されることになるのかということである。
「これがリベラルなイギリス人の見方なのかな?」、と思ってしまうところがある。

2.被団協事務局長の「我慢」

朝日新聞デジタル5月26日づけ、貞国さんという記者の署名入りだが、被団協の考えを紹介したもの。

「朝日風」の書き方が鼻につくが、ここは我慢。

A. 被団協は謝罪を求めない。求めたいが我慢する。

B. その理由は、被団協は何よりも核廃絶の前進を求めるからである。

C. 全国から集まった約20人の代表理事の全員が、この判断を認めた。

日本被団協の田中熙巳事務局長は、こう語る。

第一に、親世代は謝罪を強く求めていた。しかし被爆者の平均年齢は80歳を超えた。被爆者が生きていられる年月にも限りがある。焦りがある。

第二に、謝罪を求めれば、米国の世論が反発し、オバマ大統領は訪問できなくなるかもしれない。そういう判断が共有された。

第三に、「責めてばかりでもいけない」という声もある。

第四に、オバマ大統領が被爆地で被爆者の話を聞けば、何をすべきかわかってくれるという確信もある。

そのうえで、「オバマ大統領が核廃絶の道をつくることが、被爆者にとっての謝罪になる」という共通理解に達した。

3.原稿は変更されたのか?

5月10日、ワシントンの記者会見でアーネスト大統領報道官はこう語った。

A. 広島訪問を謝罪と受け止めるのは「間違った解釈だ」と強調した。

B. 平和記念公園でのオバマ演説は、敵国同士が強固な同盟関係を築いた戦後の日米の歩みについて、短い談話を出すのにとどめる。

C. トルーマンは死傷者を考慮に入れつつ、安全保障のために原爆を投下した。オバマ大統領はそう認識している。

D. オバマ大統領が広島を訪問するのは、米国が「核廃絶に向けて世界を主導する特別な責任があると理解している」ためである。

E. これを機会に「核兵器なき世界」の実現や、日米同盟のさらなる深化を目指したい。

これを聞いた世界の人々は、まさかオバマがこのような演説をするとは思わなかったのではないか。

それはオバマにしてみればギリギリの踏み込みだったといえるだろう。

4.英語版2チャンの反応

面白いサイトがあって、アメリカ版2チャンの対話を翻訳してくれている。

その中の5月28日の記事

訳者の見出しは「【広島・米大統領スピーチ】海外「謝罪しやがった・・・」【海外反応】 となっている。


* 民間人が住む二つの都市に投下なんて事自体がオカシイでしょ?
あなた方は常に、「善悪の二択」でしか物事を考えてない
で、常に出される結論は、「合衆国は正しかった」だ・・

* オバマはこう謝るべきだった
「あと二個くらい落とせばよかったのにゴメンね」
Tokyoにも落すべきだったんだよ
中国や韓国、そしてフィリピンに対してやった残虐行為・・・
充分それに値する

これは流石にひどいが、米国が中国や韓国、そしベトナムに対して原爆を使うつもりだったことを、同じ論理で説明できるかな。もう一つ、マッカーサーの親父がフィリピン独立派数万人を虐殺した歴史を知るべきだろう。

* (パールハーバーに関して) あのね、日本が攻撃したのは軍事拠点だよ
一方で合衆国が攻撃したのは、民間人が住む普通の都市・・・
合衆国の上層部は事前に知っていた。しかもその事を教えていなかった・・・(これはイギリス人がアメリカ人を皮肉ったもの)

* そう
謝るべきは日本政府の方
日本国民に対して謝罪するべき (これはある意味正論)

* 原子爆弾の被害は、当時被爆した人の子や孫の世代にまで影響してるんだよ・・・
そんな爆弾を正当化するとか・・・
凄いね、みんな(これはイギリス人)

* 現実として、原子爆弾は一般の民間人の頭上に落されたんだぞ?
お前らはどいつもこいつも、その現実を無視して「良かった」だの「思いやりが有った」だの・・・
なんなんだよ一体#(これもイギリス人)

* 一つだけ確かな事
それはアメリカが無実の市民を大虐殺したという事実
そう、合衆国がやった事は間違いだった(オーストラリア人)

* 一般市民を攻撃した事実
誰もがこの事を忘れちゃってるのスルーしてるのか・・・
殺された人の大部分は女性や幼い子供達だよ
戦争犯罪とは一切関係の無い人々(イギリス人)

* 素敵なスピーチだと思った
彼の言ってる事は正しいよ
我々は、決してこの過ちを繰り返してはいけないんだ
悲惨な思いをしたのは、関係の無い一般国民だけだった(イギリス人)

 

どこの国にもいるネトウヨの発言の中に、まともな反論が紛れこんでいる。

面白いのはアメリカ人がパールハーバーと騒ぐのに、イギリス人がたしなめているということ、しかし共通して言えるのは原爆が未来破壊兵器であること、それを使用したことが「人類に対する罪」であることへの言及が見受けられないことである。

核保有国の論理が市民レベルに浸透していることが窺われる。