赤旗労働面に面白い記事があった。
「最賃アップ 俗説 退治 米労働省HP」というもの。
外信の紹介ではなく、自社記事のようだが署名はない。
これは米国の労働省の公式ホームページの記事を紹介したもので、元の題名は「最低賃金伝説バスターズ」となっている。見出しとしてはこちらのほうがキャッチーである。(元ネタは日弁連貧困問題対策本部の訪米調査団が米労働省で発掘してきたパンフレットらしい)
とりあえず記事の紹介。
米国の労働省はオバマ政権の最低賃金引き上げ政策を支援している。運動をすすめるために、最賃の引き上げに反対する「俗説」(デマ宣伝)を否定する解説を掲載している。これが「最低賃金伝説バスターズ」というコーナーだ。
一問一答形式になっているようで、そのいくつかが引用されている。
最賃引き上げは10代の若者だけの利益になる?
事実ではない。最賃引き上げで利益を得る人の9割は20歳以上だ。
最賃を上げると人々が失業する?
事実ではない。最賃が上がっても、雇用には全くマイナス影響はない。事実は需要が増え、雇用が成長し収益が増えることを示している。
中小企業には最賃引き上げの余裕が無い?
事実ではない。最賃引き上げは商品やサービスの需要増加に役立ち、ビジネスチャンスを作る。
最賃引き上げは失業を増やす?
事実ではない。カリフォルニア州では最賃を引き上げたが、カリフォルニアのレストランの売上高はほとんどの数を上回っている。
サンフランシスコでは最賃を時給1360円に引き上げたが、サービス業の雇用は伸びている。
最賃引き上げは企業にとって良くない?
事実ではない。より高い賃金により離職率が激減する。その結果採用と教育訓練のコストが削減される。これは企業に好結果をもたらす。
最賃引き上げは経済に悪影響になる?
事実ではない。この80年間で最賃は25セントから7ドルまで引き上げられた。しかしその間に一人あたりGDPは着実に増加している。
というところ。
一番肝心なところ、それは日本の政府とは逆の宣伝を行っていることだ。
とりあえず、記事の紹介は以上のとおり。
ということで現物を見に行こう。
Department of Labor のサイトにMinimum Wage Mythbustersというページがある。ディスカバリーチャンネルで放送されている番組『怪しい伝説』(“Myth”が15項目並べられていて、これに対する回答はすべてNot true: で始まる。
解答はきわめて簡潔なもので、これを読んで使用者との交渉に臨めば勝利は疑いなし、という虎の巻だ。
ただ米国での労使慣行が背景にあるので、そのまま日本で使えるわけではない。日本の厚労省に同じものを作らせるべきだろうと思う。(まず最賃を上げる姿勢に立たせることが必要だが)
もう一つ、やはりこれだけでは、「日本経済がどうなるか」というところまでは説明できないから、やはり経済学の勉強は必要だろう。
私なら断然、マルクスの「賃労働と資本」をお勧めする。剰余価値の概念をもう少し正確にした上で、見やすく、わかりやすく、簡潔なパンフレットを作るべきだろう。
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