どうもFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が分からないと、事件としての「パナマ文書」の意義はわからないようだ。
そこでFATCAと入れてグーグル検索をかけてみる。
出てくる出てくる。すさまじいほどのファイルが引っかかってくる。上の方に出てくるのはほとんどが銀行のサイトだ。半分は問い合わせに対するお知らせだが、抜け目なくFATCAをクリアーする貯蓄法の指南とか、自社商品の売り込みが取り混ぜられている。
察するところ、国内外の富裕層はFATCAに慌てふためいているようだ。
一応代表的な文例を幾つか示しておく。
最初に出てくるのが「生命保険協会」のお知らせ。
2014年7月から、米国法「FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)」による確認手続きが開始されています。対象となる米国納税義務者FATCAは、米国への納税義務を持つ者が 米国外の金融口座を利用して租税回避を図るのを防ぐ目的で制定されました。
この法律は、米国外の金融機関に対し、顧客が米国納税義務者かどうか確認するよう求めています。
日本政府は、国際的な税務コンプライアンスの向上を理解し、FATCAを円滑に実施するため相互に協力することで合意しています。
日本の生命保険会社では、米国財務省と日本当局との合意に基づき、お客さまが米国納税義務者であるかを確認します。もし米国納税義務者である場合は、米国内国歳入庁宛にご契約情報等の報告を行っております。
①特定米国人 (これは要するに米国人ということ)
②米国人所有の外国事業体
実質的米国人所有者が一人以上いる外国法人・事業体をいいます。例えば、特定米国人が25%を超える議決権を有する場合をいいます。
(以下いろいろ但し書きや例外規定があるが省略)
脅し
新規の場合: 報告に同意いただけない場合、生命保険会社は、生命保険契約の締結を行いません。継続の場合: 契約締結後において、確認手続きに応じていただけない場合には、米国内国歳入庁の要請に基づき、該当のご契約情報等を日米当局間で交換することになります。
ということで、いわば超法規的な条項であり、合衆国憲法で保障された財産権の実質的侵害となっている。
FATCAは基本的に米国人が対象であるが、米国はこれを各国が互いに合意しあうように求めている。すると日本政府も日本人に対して同様の措置をもとめることになる。
はたしてそれがどうなるか。少し勉強してみないと結論は出せない。
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