東京大空襲 新たな事実

新たなニュースというと語弊がある。私が知らなかっただけだ。

本日の赤旗文化面 山部昌彦さんという方の寄稿「空襲被害 実証的研究をさらに」である。山部さんは東京大空襲・戦災資料センターの主任研究員を努めておられる方だ。

ここではとりあえず従来説の変更を箇条書きにしておく

1.空襲のやり方

まず目標地域の中心に大きな焼夷弾を落とす。これによって大火災が起きる。次の飛行機はそれを目印として目標地区全体に焼夷弾を落とす。これが短時間に大量に行われるために、住民は逃げ場を失う。

「目標地域の周囲にまず巨大な火の壁を作り、避難路を断った上で中心部を焼いた」という従来説は誤り。

2.空襲による死者数

日本国内で一般空襲(原爆以外の空襲)による民間人死者は約20万3千人である。これは空襲の行われた800以上の市町村の記録の集計による数字である。

死者50~60万人という従来説は過大であり誤りである。

3.初期消火の強制が大量死を招いた

1937年(昭和12年)に防空法が制定された。これにより国民は消火活動を法的に強制された。このため多くの人が逃げ遅れた。

官設消防は一般住宅には無関心で、軍需工場や皇居の防衛に特化していた。

東京下町大空襲の被害は極力隠された。市民はアメリカ軍が撒くビラから情報を得て判断した。

東京下町大空襲の後、初期消火体制は崩壊した。山の手大空襲の時は市民は初期消火をしないで逃げるようになった。

山辺さんは以下の結論を引き出している。

必ずしも正確ではない空襲像が今なお語り継がれています。

史料や体験記に対して、厳密な史料批判にもとづく実証的な研究が必要です。

空襲の実相を誇張せず、隠さずに明らかにすることによって、運動を進展させていきたいと思います。


「死者60万」などと言い続けていると、そのうちアメリカから「東京大空襲はなかった」と言われかねない。

このように事実解明が進んでいくと、「アメリカはひどい」と考えていた中身が、実はかなり「日本政府のひどさ」に起因していることが明らかになりそうだ。

この辺は沖縄戦の実相の究明とも似た経過だ。