核酸の分析技術

というページがあって、DNAの壊し方から塩基配列のもとめ方、DNAの再建とIn Situでの観察まで要領よく書いてくれている。

1.核酸分解酵素 ヌクレアーゼ

核酸はヌクレアーゼという酵素で切断していく。

図のように二つの切り方がある。

2.電気泳動による核酸の分離と精製

核酸はタンパク質と結合しているので除タンパクする。これは核酸の水溶液を作り、フェノールと混ぜ振動を加える。ドライクリーニングの要領だ。

除蛋白した後にエタノールを加えると核酸が沈殿する。これに核酸分解酵素を加えるとDNAはバラバラになる。

これを精製するのには遠沈法と電気泳動法があるが、前者は省略。

上図が普通のアガロース・ゲル電気泳動で、溝に臭化エチジウムで染めた試料を入れて電気をかけると、ゲルの中を滲み出していく。この時、短い断片ほど速く移動する。しかしDNAは長すぎて動けない。

そこでパルス電場(PEG)電気泳動という装置で電極をパルス状に反転させながら泳動すると、かなりの大きさのDNA断片まで分離が可能となる。

3.プロッティング

ゲルの縞模様を、ニトロセルロース膜に写し取ること。むかしやった「写し絵」の要領です。

言葉で書くと難しいが、絵で見ると、なんとも原始的な方法。

この写し絵のやり方に次の3つがある。基本的には標識(マーカー)に何を使うかの違いである。

(a) サザン(Southern)ブロッティング:  標識したmRNAcDNADNA断片を検出する方法

(b) ノザン(Northern)ブロッティング:  標識したcDNAdmRNAを検出する方法

(c) ウェスタン(Western)ブロッティング:  標識した抗体タンパク質を検出する方法

このうち基本となるのは、サザンだ。ノザンは、DNAではなくmRNAを検出するための方法。これにより特定のmRNAの(i) 鎖長の解析、(ii) 組織分布、(iii)発現の有無や量が分かる。ウェスタンは昔ながらのデータ保存方法であるが、核酸の検出法としては一種の邪道だ。

4.ハイブリダイゼーション

ここからが話が難しくなる。こちらの脳みそも焼け付きつつある。

ハイブリダイゼーション(hybridization)というのは、標識したcDNAやmRNAと対象の核酸が「2本鎖」を形成するかどうかを調べる方法である。

ここまで面倒なので省略してきたが、DNAはあらかじめ1本鎖にしてある。これはヌクレアーゼによる切断とは違い、熱やアルカリではしご部分を切り離している。

これと標識したDNAを混ぜて置いておくと、ハイブリッド(混血)の2本鎖が出来上がる。これが下の図である。もちろん元のDNA同士がくっつく場合もあるし、結婚できずに独身のままのDNAも混在することになる。

5.一次構造の決定

此処から先はまったく五里霧中。

ジデオキシ法(Sanger法, 鎖終結法)

大腸菌DNAポリメラーゼの一部を用い、配列を決めたい1本鎖DNAの相補的コピーをつくる。この時に特殊な薬液(DNA阻害剤)を加えておくと、ターミネイターのところでDNA合成が停止してしまう。

この停止はランダムに起きるので、鎖の長さの異なる様々な断片が得られる。これを電気泳動にかけて並べてみると、DNAの配列が浮かび上がってくる(のだそうだ)

現在ではこのサンガー法が普及している。なお最近では放射性同位元素の代わりに蛍光物質でプライマーを光らせている。波長の異なる4種の蛍光発色団が同時に用いられることで、大幅なスピードアップにつながっている。

6.転写制御因子の検出

DNAの解析では、遺伝子解析とともに特定のタンパクと結びついて機能を発揮する部位の同定も重要になってくる。

そのひとつが転写制御因子(それ自体はタンパク)との結合部位である。この同定に用いられるのがDNase I (デオキシリボヌクレアーゼⅠ)である。

これはDNA分解酵素の一種であるが、タンパク質と結合したDNAは分解しないという性質を持っている。

当然その部位は大きなサイズの断片になるので、泳動に応じない。このためサンガー法でスペクトログラムを作成すると、その部分が「足跡」のように欠落してくる。

このことから、そこに転写制御因子との結合部位があることが分かる。

7.全体像の形成へ

断片を継ぎ合せることによってより大きなDNA断片の塩基配列が同定されていくことになるが、目的地に達するのに次々とDNA断片を乗り換えて行く方法がある。

目的遺伝子の近傍のDNAから出発して、重なり合うクローンを次々にクローン化(歩行)して目的遺伝子にたどり着く手法であり、巨大な遺伝子の全領域のクローン化には無くてはならない方法

とされている。

これを遺伝子歩行(Gene Walking)という。

中身はさっぱりわからないが、絵柄としては感じは出ている。テレビ番組で「全国路線バスの旅」というのがあって、3人組で路線バスだけを使って目的地にたどりつこうというのだ。いろいろ乗り継ぐのだが、最後になると欠落部分(たいていは峠)を歩いて越えることになる。まさにウォーキングである。

と、だいたいこんな所。

分かったとはとても言えないが、どことなく感じはつかめた。