一つの言葉を知ろうとして調べると、そこには未知の言葉が3つ4つ出てくる、という具合で、いい加減くたびれてきた。

しかしここで挫折しては元も子もない。もう少し頑張ってみよう。

所詮テクノロジーの世界である。アプローチの基本戦略(ショットガン)が分かれば論理過程はそう難しくはないはずだ。…というのが唯一の希望である。

DNAマーカー 定義

まずウィキペディアの定義。と言ってもここではDNAマーカーではなく、「遺伝子マーカー」の定義となっている。「遺伝マーカー、DNAマーカーなどとも呼ばれる」と書いているが、我々一般人の常識からすれば、DNAマーカーと遺伝子マーカーでは明らかに意味合いが違ってくる。しかし、ここでは目をつぶろう。

生物個体の遺伝的性質(遺伝型)、もしくは系統(個人の特定、親子・親族関係、血統あるいは品種など)の目印となる、つまりある性質をもつ個体に特有の、DNA配列をいう。

ほとんど法律用語だ。遺伝屋さんの世界にはこういう人達がいるのだ。

要点を言えば、DNA上のランドマークとなる「特有の塩基配列」ということだろう。先が思いやられる。

DNAマーカーの種類

遺伝子マーカーは、容易に検出でき、その座位が特定されてものである必要がある。逆に言えばその条件さえ満たしていれば何でも良いことになる。

短いものでは1~数塩基の一塩基多型(SNP)や制限断片長多型(RFLP)から、長いものではマイクロサテライトまで、様々な種類がある。

DNA型鑑定にはマイクロサテライトなどがマーカーとして用いられる。

この後、遺伝に関するさまざまな知見が述べられるが、テクノロジーに関しては言及なし。肩透かしの解説だ。

DNAマーカーを利用したDNA操作

我々が知りたいのはゲノム解析であり、そのためのDNA操作だ。その際にDNAマーカーをどう利用するのかが知りたいところである。

農林省のサイトの「ゲノム情報の品種改良への利用-DNAマーカー育種-」はその点に若干触れている。

生命は遺伝子によって支配されています。この遺伝子のゲノム上の存在位置の目印となるDNA配列が『DNAマーカー』です。そして、その目印を利用した育種を『DNAマーカー育種』と呼んでいます。

重要な遺伝子の近くにあるDNA マーカーを見つければ、これを目印に重要な遺伝子の存在を確認することが可能となります。

DNA マーカーには、おおよその場所を特定するDNA マーカーと遺伝子そのものを特定するDNA マーカー があります。(最初のウィキペディアの説明で受けた違和感はこれで解消する。つまり前者をDNAマーカー、後者を遺伝子マーカーと呼び分ければよいのだ)
どちらにしても、それが品種(系統)特異的であればあるほど、汎用性のあるマーカーになります。

ということで、各施設がマーカーの開発にしのぎを削っていることが分かる。

それが分かれば当面はそれで良し。


ついでにDNAマーカーを使った品種改良の仕掛け。
ある作物を品種改良して病気にかかりにくくする。このために、優良品種にすごく劣った品種なのだが、その病気にだけはかかりにくい品種を掛け合わせる。
後はこのf1を元の優良品種と何代にもわたって掛けあわせ、病気にかかりにくい性質だけを引き継ぐ、というのがこれまでのやり方だった。
この取捨選択は手間ひまの掛かる仕事だ。これを苗のうちにやってしまおうということになる。そうするとDNAマーカーを利用して遺伝子を分析し、劣等作物の遺伝子が混じっているものを間引きしていけば、遥かにスピードと精度が上がる。
踏み台にされる劣等品種の立場に立つと、根絶やしにされる能率が良くなるだけで、なんとも辛い話だが…