次は芝浦工大教授の村上雅人さんの「やさしい超伝導のおはなし1

面白いエピソードがあって飽きさせない。だいたい講義を聞いたあとで覚えているのはこの手の話だ。しかしそれでは試験は通らない。

1 電気抵抗ゼロを確かめる

過去の実験では、なんと 2 年以上もの間電流(磁場)が減衰しないことが確かめられているそうだ。

そうすると不純物は現代の冶金技術のもとではあまり問題にならず、もっぱら結晶格子の量子的揺れによって抵抗が生じていると見て良さそうだ。

2. 超伝導の起源をもとめて

オンネスが超伝導現象を発見したのは1911年のこと。

当時、絶対零度まで温度を下げたら、金属の電気抵抗がどうなるかということが論争になっていた。絶対温度の単位名にもなっているケルビン卿は、絶対零度では電子さえも凍って動けなくなるから、電気抵抗は無限大になると予想していた。

…突然4K 付近で電気抵抗が不連続的に低下し、ほぼゼロとなった。優秀な実験家であったオンネスは、何か実験のまちがいであろうと繰り返し実験し、再現性を確認する。ただし、ここでも電気抵抗がゼロとは結論を出さずに、電気抵抗が10-5Ω以下になったと表記している。
その後、Hg の純度を変えるなどして、数多くの実験を行い、この現象がHg が有する基本特性であることを確認する。そして、Hg が超伝導状態という電気抵抗がゼロの新しい状態に遷移したと宣言するのである。

オンネスの超伝導の発見は、従来の古典的な物理では説明できない何か新しい物理が誕生しつつあるという予感を多くのひとに与えたのである。実際に、超伝導の機構解明は量子力学という20 世紀の新しい物理学によって行われることになる。

誰かさんに聞かせたい一節ですね。

 

やさしい超伝導のおはなし2

最初は略

2. 電気抵抗の正体

オームの法則によると、電子はつねに力を受けているにも関わらず、等加速度運動ではなく、等速度運動を続けている。

金属内では電子の運動を妨げるもの、あるいは直截的には衝突するものが存在していると考えるほかない。

電子が衝突する相手とはいったい何であろうか。それは金属を構成している格子(金属イオン)であろう。

ところが、実験を進めていくうちに、電子は格子間隔、つまり金属イオン間の距離の数10 倍もの距離を自由に動けるということが分かった。

結局、物理学者たちが電気抵抗の犯人として特定したのは格子振動(フォノン)であった。

金属の格子は正に帯電している。この格子が熱運動で揺れ動くと、負に帯電している電子はクーロン相互作用により自由な動きが封じられる。

それでは、絶対零度では電気抵抗はゼロとなって超伝導になるのであろうか。答えはノーである。格子が振動していなくとも、電子の運動が、格子振動を誘導してしまうのである。

これでは、超伝導現象を説明することができない。

よって、複数の電子の相互作用を考慮に入れると、結果的に電気抵抗がゼロになる特殊な条件が存在するかもしれない。こう多くのひとが考えるようになった。

 

やさしい超伝導のおはなし 3

3. マイスナー効果の発見

マイスナー効果というのは超伝導状態が本質的に磁場を嫌うという性質である。

超伝導状態になった超伝導物質に外部磁場を加えると、磁場の超伝導体への侵入が阻止される。

この現象は、電磁誘導と電気抵抗ゼロによって説明できる。

電磁誘導には面白い性質があり、誘導される電流は外部磁場の変化を妨げる向きに流れる。これをレンツの法則と呼んでいる。

それでは、電磁誘導を超伝導にあてはめてみよう。超伝導体に磁石を近づけると、磁石を近づけまいとする向きに電流が誘導される。

ここからが超電導体の超電導体たる所以で、一度流れ始めた電流は止まらないのでね。

よって、超伝導体に磁場を印加すると、ちょうどその磁場を打ち消す向きに電流が流れ続けるから、超伝導体内に磁場は侵入できないということになる。

ということでめでたしめでたしと思っていたら、どんでん返しが用意されていました。

しかし、これでは大発見とは言えない。電磁誘導と「電気抵抗ゼロ」という性質によって説明できるからである。

ところが、超伝導には別な顔があった。

村上さん、うまいですね。すっかり乗せられてしまう。

超伝導体に室温で永久磁石を載せる。それからギンギンに冷やしていく。超電導体が超伝導になったらどうなるであろうか。

磁石を超伝導体の上から離そうとすると、超伝導体内の磁場が外に排除されることが分かったのである。これがマイスナー効果と呼ばれるものである。

それは、超伝導が常伝導状態とは全く異なる新しい熱力学的な平衡状態にあるということを示している。水が氷に変化するように、超伝導状態は一種の相変態によって生じる現象であることが分かったのである。

「ふむふむ」と言いつつもなんのことやら分かりません。さもありなんとばかり村上さんは図で説明してくれます。しかしこの図が、かえってわかりにくくしてくれます。

 

やさしい超伝導のおはなし 4

1 超伝導は常伝導とは違う相

超伝導状態は常伝導状態とは異なる新しい熱力学的状態である。では、何が常伝導状態と異なるのであろうか。

一言でいって、「複数の電子が互いに相互作用することで、結果的に電気抵抗がゼロになる状態」と言える。

ただし、その数学的論証はすごく難しいそうです。そこのところは飛ばします。

超伝導状態では、ある電子が格子に奪われたエネルギーを、別の電子が奪い返すことで、これら2つの電子ペア(Cooper pair)で考えれば、エネルギー損失がない状態ができている。

あたかも、電子と格子がひとつのボールを投げ合っているような状態なので、電子と格子のキャッチボールと呼ぶひともいる。

 

3. BCS の壁

Bardeen, Cooper, Schrieffer という3人の研究者が提唱したため、これはBCS理論と呼ばれている。

BCS 理論の基本は、電子が格子に及ぼす影響である。電気をよく通す物質は、この相互作用が弱いことを意味している。

超伝導になる温度には上限がある。これはBCS の壁と呼ばれ、30 – 40 K 程度と考えられている。

しかしそれは覆された。高温超伝導の発見である。いまでは130K という高温で超伝導が発現している。


これで終わりです。私の一夜漬けもこれで終わり。

結局わからないことがわかったが、感じはつかめたような感じも、しないでもありません。

しかし、これではドイツのリニアモーター開発中止までには相当の道のりのようです。