どうも赤旗の見出しはミスリードのようだ。

最初に記事を読んだ時、日本の軽水炉型原発は欧州の加圧水型に比べ4つの欠点があるというふうに読んだのだが、そうではなかった。

どういう比較をしているのかと思って舩橋さんの参考人発言を聞いてみたら、「脱原子力大綱を読め」ということだったのは前報のとおり。

面倒なのでそのままにしようかと思ったが、やはり気になる。

そこで、その「脱原子力大綱」に行ってみた。

原子力市民委員会のホームページに「原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱」(5.72MB)のPDF版が載せられている。その160ページが該当する部分だ。

taikou


4-7 新規制基準は「世界最高水準」には程遠い

福島原発事故の教訓と反省をもとに策定された新規制基準において初めて過酷事故が規制の対象になった。

その新規制基準について、「世界最高水準である」あるいは「世界一厳しい基準ができた」と田中俊一原子力規制委員長は公言しているが、それが事実かどうかを検証した。

福島原発事故が生じる以前の段階から安全性を高めた原発として設置が承認された欧州加圧水型炉(EPR)の安全対策に照らし合わせると、いくつかの重要な設備が新規制基準には入っていない。

これらの事実から、新規制基準が「世界最高水準」でないことは明らかである。

表4.3 安全設備に関するEPR と新規制基準の相違点

安全設備

EPR

新規制基準

安全上重要な系統設備の多重性

独立4系統

独立2系統

コアキャッチャー

設置

要求なし

格納容器熱除去設備

設置

要求なし

頑健な原子炉格納容器

大型ジェット旅客機の衝突に耐える二重構造

要求なし

(コアキャッチャーというのは、原子炉圧力容器外に流出した溶融炉心を格納容器内に貯留する設備のことで、そのものずばりである。格納容器の熱除去設備というのは、コアキャッチャーを水で循環冷却する装置で、さらに原子炉を水棺にできる機能も併せ持っている設備のことで、要するに溶けた炉心の二重の受け皿ということになる)

4-7-3 原子力規制委員長自ら安全文化を軽視

田中俊一原子力規制委員長が「新規制基準は世界最高水準である」と公言すること自体に、安全文化(セイフティー・カルチャー)に関わる大きな問題点が含まれている。

IAEA が注意を促す「安全文化が劣化する典型的なパターン」の第1項に「過信:良好な過去の実績、他からの評価、根拠のない自己満足」が挙げられている。

原子力規制委員長が「新規制基準は世界最高水準である」と公言することは、前節で明らかにしたように、この「根拠のない自己満足」に当たると言わざるをえない。


ということで、要するに日本の安全基準が緩いと言っているだけの話だ。軽水炉か加圧水型かはこの際関係ない。

大変お騒がせしました。

なおこの「脱原子力大綱」、題名とその厚さに怖気を振るってしまうのだが、中身は案外読みやすく、寝転んでも読める。

だいじな知識がぎっしり詰まっているので、ぜひご一読を。