国債取引不成立に関する日経の報道。

日銀が国債の発行額の約7割を買いまくった。その結果、市場参加者同士の売買が細り、流動性が低下している。

ある大手証券のディーラーは「取引しようにも上司の決裁がもらえない状態」と打ち明けた。

「表面的には金利は低位安定して見えるが、市場機能は弱っていて、ショックがあれば金利は急騰しかねない」との懸念が示されている。

ということで、どうも日銀にとては想定内の経過といえるようだ。

バキュームカーで国債を吸い取れば、国内に国債は存在しなくなる。そうすれば国債市場も消失する。

ひとつは、財務省の国債発行権限が無力化する。国債発行を通じて日本経済の調整を図ろうとする財務省のアイテムは失われたに等しい。

もうひとつは、国債を買い取っては日銀に売り利ざやを稼ぐという、民間銀行の安易な手段はもはや使えないということだ。

そうすると、日銀に積み上げられた膨大な当座預金をどう運用するかという決断が迫られることになる。「いつまでも左うちわでは暮らせないよ」ということだ。

そこでいよいよ当座預金を動かす。投資先はおおまかに言って3つある。国内の生産的投資、不動産等の投機的投資、そして外債買いだ。最初の二つの可能性は低い。したがってその多くが外債買いに回ることになる。

それが日本経済にとってどういう意味を持つのかがよく分からない。はっきりしているのは、決して良いことにはならないということだろう。