「生涯派遣」、「正社員ゼロ」社会を許すな

共産党が派遣法改悪に反対するアピールを発表した。

特徴的なのは、派遣社員の問題ではなく、労働者全体の問題なのだという点を強く押し出したこと、さらにそれが社会経済を破滅に追い込む可能性を強く警告したことだ。

突き詰めれば、これはすべての国民の一人ひとりの問題だということだ。

これは、たとえば生活保護バッシングや、TPP(農産物輸入の完全自由化)の農民いじめにも通じる論理だが、2つの点で違う。

ひとつは、分野別の切り崩しではなく国民の圧倒的多数に対する正面攻撃だということだ。

もうひとつは、とりわけ若い世代、日本の未来を担う世代への攻撃であり、引いては日本の未来に対する攻撃なのだということだ。

ということで、アピールは三段構えになっている。

1.「生涯派遣法」反対

まずは派遣労働者への攻撃、つまり「生涯派遣法」と批判する。

ちょっと難しい言葉だが、「常用雇用代替禁止」と「臨時的・一時的業務に限定」という縛りを廃止するのが、その内容だ。

わかりやすく言うと、これまでは派遣社員には期間と業務内容で縛りがあって、「なんでも、いつまでも」使い続けることはできなかったのが、これからは「どんな仕事でも、いつまでも」使って良いということになる。

その結果どうなるか、一生派遣から脱出できないということだ。これが「生涯派遣法」と言われる所以だ。

「派遣でもいいじゃないか」という人もいる。それは待遇が均等ならという仮定つきだ。いま待遇が均等でないことははっきりしているから、政府も「均等にします」と言ってはいる。

言ってはいるが、これを読んでなんのことか分かるだろうか。

「均衡を配慮した待遇の確保の際に配慮した内容を…派遣労働者に説明する」

やる気が無いから言葉が難しくなる。依頼を断る時ってそういうもんだ。これで待遇の均衡が保証されると思うか。

2.「正社員ゼロ法」反対

「どんな仕事でも、いつまでも」というのは、正社員なんかいらないということだ。

企業は争って正社員、直接雇用をやめて派遣に置き換えるだろう。それは世の倣いで、やらなきゃコスト競争に負けてしまう。

ブラック企業が話題になったが、正社員になれるのならと、みんな粉骨砕身努力した。そして3年でボロボロになって辞めていった。会社にすれば「正社員」という餌で使い捨てたわけだ。

同じ給料で2倍働けば給料は実質半分となる。それが相場となれば日本という成熟市場のもとで、全体の所得は半分になる。これは簡単な理屈だ。

日本の労働者の賃金は1997年をピークに減り続け、平均年収は70万円も減っている

以下略