「ザ・グランド・トリオ」というナンジャラホイみたいな名前のピアノ三重奏団があるのだ。
日本人のトリオだ。
ところがこれがいいのだ。チャイコフスキーの「偉大なる芸術家の思い出」の一部が聴ける。
ピアノの女性がとってもうまい。第三楽章の出だしなどほれぼれとする。出しゃばらず、しっかりとリズムを刻みながら情感を乗せていく。ホールが良いせいか弦も豊かに響くが、チャイコフスキーにしてはネットリ感が足りない。
グリンカのエレジーはおそらくアンコール曲、ピアノは伴奏程度の演奏だが、はっとするような音が聞こえてくる。
クレジットにMisato Yokoyama と出ていた。
それでYouTube検索したら、ブラームスのソナタ第3番が出てきた。相当びっくりする演奏である。これまで、ツィマーマン、ワルター・クリーン、ソコロフ、ラドゥ・ルプーで聞いてきたが、まったく音が違う。
この曲はドロドロの音色の曲と思っていたが、この人の演奏はキラキラとしている。ダビンチの「最後の晩餐」のクレンジングの前後という感じだ。
最初はとっても違和感だが、聞いているうちに、これが本当のブラームスだという気にさせられる。説得力のある演奏だ。リズム感覚が揺るがず、流れで弾くというより音を積み上げていく手法だ。それだけの強靭な指を持っているのだろう。
日本にはこのくらいのレベルの人がゴロゴロいるんだなと感心した。
先だってはグリモーのブラームス間奏曲Op.118を聞いて感心したものだが、Yokoyamaさんの後期ブラームスも聴いてみたいものだと思う。